表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3339/6878

3205


 ライヴァスラー家には、シャム先生以外にも男児が複数居る。たしか、ユラちゃんが云ってなかったかな。シャム先生には弟が居て、一緒にメティの魔法塾に来てたって。

 そもそもシャム先生当人は、そこまで「跡を継ぐ」という意識が強くはなかったそう。なんとなくだけど、弟が跡を継いで、自分はそれを補佐するようなイメージを持っていたらしい。そういう気持ちだった上で、入山試験合格である。

 実際に入山したら、御山(おんやま)の雰囲気や価値観にとても共感し、離れたくなくなった。だから去年の段階で、自分は跡目を外れたいと家族に手紙で相談していたらしい。

 ただ、シアイルの貴族というのは、次に誰が爵位を継ぐのかを明確にしないといけないという決まりがある。それをしていない状態で当主が亡くなったら、誰が跡を継ぐかで数年もめることもあるらしい。それに、きちんと跡取りを指名していなかった為に、お家そのものが取り潰されたこともあるんだって。

 だから、男児を複数持つ。男の子ができなかったら養子をとるし、男の子がひとりだけしか生まれなくても養子をとる。

 それは、まだ長男が結婚していないもしくは長男に男児が居ない場合、次男が暫定的に跡取りに指名されるからだ。暫定でなく、そのまま弟に爵位が移動することもある。とにかく、云いかたは悪いけれど、スペアを沢山用意しておく、という考えなのだ。

 で、長男が居るのに次男が指名されるというのは、なにか理由がないと認められない。腹のたつ話だが、ツィーさまみたいに耳持ちだったり、アーデルさまみたいに聴覚障碍がある場合は、跡目から外す正式な理由になるということなのだろう。

 シャム先生には、そういった理由がない。五体満足で、魔法をつかえない訳でもなく、反社会的な言動もしないし、捕り手の厄介になったこともない。そうなると、シャム先生が跡取りになるつもりがなくても、長男である以上は跡取りにならざるを得ない。


「それじゃあ、今からその……交渉するんですか?」

「そうなるな。御山(おんやま)で教員をしているから跡は継げないというのは、正当な理由になりうる。弟に譲るのだから問題も少ない。今まで跡目から外れなかったのは、御山(おんやま)に勤められるかがわからなかったからだから」

 ああそっか。幾ら勤めたくても、簡単に勤められるものではないのだ、御山(おんやま)というのは。奉公人ならともかく、事務員や教員はね。

 成程、じゃあ、シャム先生はしばらくしたら、ライヴァスラー卿じゃなくなるんだ。なんか変な感じだけど、当人が希望していることだし、それでいいんだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ