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で、もう片方が、効果が一定のもの。
職業名ははっきりしないが、不名誉職のなかには、条件を満たせば相手に確実に固定値のダメージを与えられるっていう職業加護があるそうだ。だから、不名誉職っていっても職業加護は便利なんだから隠すことはないって、いろんなひとが云う。
そういう「固定ダメージがはいる」もしくは「固定値恢復」の職業加護というのは、不名誉職でなくても存在する。相手に1ダメージとか、そう云うのって数値化されてんの? とは思うが、そういう職業加護が存在する以上はそういうものなんだろう。見えないだけで数値は存在するのだ。
シャム先生の職業、剣戟士は、いろんな武器をつかえるようになる職業だ。勿論、どれも熟練並みに扱える! ってことではなくて、苦手な武器がない、くらいの感覚らしい。勿論、苦手がなくて、どの武器であっても練習すれば練習しただけちゃんと上達するんだから、結構なチートである。いやチートだよね? 確実に結果が出るんだから。
シャム先生が云っているのは、その職業加護がちゃんと働いているか、宣言直後にたしかめた、ということだと思う。
剣戟士なのだ。宣言直後に湖の傍で、いろんな武器をつかって、エルセイユ先生とファイトしたのだろう。
シャム先生はなかなか強い。なので、それでもひと太刀浴びせるのが精一杯らしいエルセイユ先生がめちゃくちゃ強いんだと、あらためてよくわかった。御山の実技の先生で一番強いみたいなこと、聴いたことあったけど、面識ないし実感がなかったのだ。うーん、御山ってやっぱり、ほかとは規格が違う。
「シャム先生も怪我を?」
「ああ。よく考えたら、ヒカリ先生にはその頃から世話になっているな」
シャム先生はふふっと笑う。「その時も治療してくれた。持つべき者は、素晴らしい癒し手の同期だ」
湖から誰かが戻ってくることはなくて、ジーナちゃんは黙って動かず、ユラちゃんはお菓子を食べたり魔法の練習をしたりしている。俺は、シャム先生になんとなく尋ねる。
「先生は、ご実家には帰らないんですか?」
ライヴァスラー家の跡取りなんだし、普通に下山するものだと思っていた。それが、こうやって補助教員になっているので、お家はどうするのだろうと気になっていたのだ。
「ああ」シャム先生はかりんとうを気にいったみたいで、ぽりぽりかじっている。「まだ話はつけていないが、跡目は放棄することになると思う」
え、なんか重たい話してません?




