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 シャム先生は、ミューくんが加勢して、ヒカリ先生とふたりで治療している。結構、まずい状態だったのか、呼び出されたらしい癒し手の先生が、押っ取り刀でやってきた。癒し手ひとりでは対処が不可能と判断したのなら、かなり重い怪我だったということだ。やばかったんじゃん。

 実技の補助の先生が事と次第を説明し、走ってきた癒し手の先生は肩で息をしながら、呆れ顔でシャム先生を見ている。

 ジーナちゃんはユラちゃんの隣に腰掛け、ユラちゃんの魔法を見物していた。ユラちゃんは口を尖らせて、小さな手に火を出したり、透明な氷をつくったりしている。「等級を増やした時みたいなもんだと思ってたけど……かなり魔力が増えたみたい。案外、制御が難しいわ」

「それくらい操れるのなら、充分ではないの?」

「だめよ。メティだったらこんなの落第になる」

 ジーナちゃんの言葉(俺は至極もっともだと思う)に、ユラちゃんは簡単に返して、氷を幾つかつくるとお手玉をはじめた。ひんやりした空気が流れてきて、涼しい。

 氷は日光と気温で溶けそうなものだけれど、表面が乾燥したままに見える。つまり、ユラちゃんはお手玉しながらも氷の温度を維持し続けているってことだ。これだけできれば本当に、充分だと思うのだけれど、ユラちゃんは不満げにしている。


「いや、さすがだ、レフオーブル嬢」

 怪我が治って体を起こしたシャム先生が、少し離れたところからユラちゃんを誉めた。ユラちゃんがそちらを見、軽く肩をすくめる。うわ、シャム先生の服、襟近辺が血まみれになってる。やっぱりやばかったんだ。

 ユラちゃんが目礼した。

「ありがとうございます、ライヴァスラー卿。ですが、制御が甘ければ、威力が高くても無駄ですわ」

「レフオーブル嬢のことだ、すぐに魔法を優雅につかいこなすようになるのだろう? あなたの魔法に対する真剣さは知っている」

 ヒカリ先生がシャム先生を睨み、ミューくんは両膝をついた格好で、苦笑でシャム先生のせなかを撫でている。癒し手と癒し手志望のふたりの表情をよそに、シャム先生は上機嫌だった。「それにしても、百雷であの威力とは! 来学期からの実技が楽しみだな」

「シャム先生、はしゃいでいるところ失礼しますが、あんなにすぐにファバーシウス卿が来なかったら大事(おおごと)だったかもしれませんよ。もう少し、教員として自覚を持ってください」

 ヒカリ先生がそう苦言を呈した。ミューくんがふふっと小さく笑い、同意を示す。「そうですよ、ライヴァスラー卿」


誤字報告ありがとうございます。助かります。

感想ありがとうございます。はげみになります。




読者の皆さま、いつもこちらの作品を読んで戴きありがとうございます。

こちらの作品は今月中にひとつの山場を迎え、作者としても書くのがつらかった部分を投稿しています。

タグの「ハッピーエンド予定」は、まだ完結していないという意味での「予定」です。ハッピーエンド自体は確定しています。

それを翻すようなことはありませんので、なにかあってもあたたかくみまもってもらえると嬉しいです。




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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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