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湖までは、それなりに距離がある。リッターくん達はもう、宣言を終えたかもしれない。
「ミューくん達の宣言は……」
「あ、そうだ、俺も明日か明後日くらいに宣言みたいなんです。ラスターラ卿の話に拠れば」
ミューくんがぺろっと舌を出した。どうやら、ラスターラ卿に口を割らせたらしい。さすが。
ミューくんはジーナちゃんを見る。「ジーナは? どうだい?」
「わたしは、明日みたい。はっきりとしたことは云われていないんだけれど、さっき、付き添いを希望しているかどうか、確認されたの。だから、明日か明後日なんだと思う」
ああ、まだ宣言がいつかを伝えられる前でも、このひとに付き添ってほしいっていう申請はできるんだ。成程。じゃあ、それを確認されたということは、宣言がもうすぐだということだろう。
ジーナちゃんは俺を見て、かすかに笑った。「勿論、マオに付き添ってほしいって、申請しておいたのよ」
「うん。明日、お弁当持っていこうか?」
「それもいいわね」
ジーナちゃんはそう云ってから、遠くを見るような目をした。「リッターには悪いことをしてしまったわ。きちんと謝らないと」
「あいつ、思いきったことをするよな」
ミューくんが呆れたみたいに云ったが、顔はちょっと嬉しそうだ。リッターくん、ポイント稼いでるよ!
湖の傍には、補助教員が数人居た。皆さん、苦笑いになっている。
シャム先生とヒカリ先生も居る。ヒカリ先生は憤然とした様子で倒木に腰掛け、シャム先生が膝枕してもらっていた。えっと思ったけれど、怪我の治療中みたい。
「あら、案外はやかったわね」
ユラちゃんが切り株に腰掛けて脚をぶらぶらさせていた。俺は見えているものに、なんとなく違和感があり、この間ここへ来た時との差をさがす。ミューくんがちょっと笑って、シャム先生達に近寄っていった。「ライヴァスラー卿、大丈夫ですか?」
「ユラ、おはねをしたのね」
ユラちゃんは肩をすくめる。俺は、前と違うのはヒカリ先生が腰掛けている倒木だ、と気付いた。前はあんなものなかった。
ユラちゃんを見る。俺が驚いた顔をしていたからか、ユラちゃんはもう一回肩をすくめた。「ほかのところで失敗するよりもいいでしょ。それに、ライヴァスラー卿が、試しに打ち合おうとおっしゃったの」
つんと澄ました云いかただ。さすがのジーナちゃんも、ふふっと笑っている。要するに、魔導士になって魔力が上がったユラちゃんに、シャム先生が挑み撃沈、魔法の威力が凄くてついでに木が倒れた、ということらしい。こわあ。




