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ふたりがここに居る理由は簡単だった。また、ふたりの持ちものがなくなったのだ。
ジーナちゃんのヴェール数枚と、ノートが一冊。ミューくんのピアスとヘアピン。ノートと、ヴェール二枚は見付かったけれど、それ以外はまだ見付からない。
ユラちゃんが鼻に皺を寄せた。
「また、ばかみたいなことをする人間が居たものね」
「めずらしく君と意見がぴったり合ったな」
ミューくんが皮肉っぽく云う。機嫌が相当悪いみたいだ。ジーナちゃんが心配そうに、ミューくんの腕を優しく叩き、ユラちゃんへ顔を向ける。
「ユラ」
「いいわよ。ジーナ、あんたみたいに機嫌が悪くならないのがおかしいんだからね」
「それも同意見」
「ミューったら」
「ねえ、ここにあるって確証は?」
ユラちゃんが訊くと、ミューくんが軽く肩をすくめた。「占いだよ。占い師になった同期が居るんだ」
「成程ね」
ユラちゃんはちょっと口を噤み、思案げにする。それから口を開いた。
「ねえ、わたし達も手伝ってあげたいんだけど、今から宣言だからできないわ。悪いけど」
「気にしないで。わたし達の寮の問題よ」
「俺達の寮の愚か者の問題だよ」
リッターくんが唐突に云った。「マオ、手伝ってあげてくれ」
ユラちゃんがリッターくんを仰ぐ。
「リッター? あんた、不安だからマオについててほしいんじゃないの」
「ああ」
そういったことに関して、リッターくんはごまかさないし、変に見栄を張らない。ミューくんは半笑いになり、ジーナちゃんも微笑む。リッターくんの素直なところは、ふたりも好もしく感じているのだろう。
リッターくんは頷いた。
「だが、女性の持ちものがなくなっているのは、由々しきことだ。マオにはここに残ってもらい、ふたりを手伝ってほしい。湖の傍には伝糸持ちの奉公人が居る筈だから、応援も頼める」
「あまり大袈裟にしたくないの」ジーナちゃんがやわらかく云った。「そういうのは……」
「わかった」
リッターくんはひきさがる。「だが、マオに手伝ってもらうのは、いいだろう」
「……でも、あなたの付き添いでしょう」
「我慢できる」
こわくない、とか、不安がなくなった、とか、そういう嘘もリッターくんは云わない。自分が不安であることよりも、ジーナちゃん達の持ちものがなくなっていることのほうが重大だと、そういうふうに感じているということだ。
ジーナちゃんは、凄くほっとしたみたいに、小さく息を吐いた。「そうね。あなたがいいのなら、わたしはマオに手伝ってほしいわ。見付けたら、マオを湖の傍まで送るから……」




