表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3323/6879

3189


「まあまあ避けられるようになったじゃないの」

「お前も魔法制御の腕は鈍っていないようだったぞ」

 ふんぞりかえっていたユラちゃんがむっとした。「リッター」

「なんだ?」

「あんたは口のききかたがなってないわ」

 リッターくんは軽く肩をすくめた。


 時間はなかなかすすまない。俺達はシアイル寮のまわりを散歩することにした。

 学生さんのなかには、どんな職業になったのかを明かさないという選択をした子も居る。不名誉職という場合もあるし、職業を隠す自由は御山(おんやま)では保証されているのだ。だから、まだ順番がまわってきていないのに、湖の傍で順番を待つのは、できる時とできない時がある。

 できない時がそれ即ち不名誉職の子の宣言の直後、という訳でもないけれど、職業を隠さないまでも、特殊能力との兼ね合いなどで宣言直後にいろんなことを試す場合もあって、それを隠したいっていう子も居る。あまりにも貴重なものだと、御山(おんやま)が隠そうとしている場合もあるし。

 今日は、湖の傍で待つことはできない。直前に呼び出されるので、ふたりはそれから湖に行って宣言をする予定だ。ユラちゃん、リッターくん、の順番。

 今日中のどこかのタイミングで呼び出しがある筈だが、それがいつになるかは不明だから、ユラちゃんも暢気に図書館へ行くことはできないのである。だって、図書館と湖、遠いもん。

「マオ、来年、わたし達が下山したら、一度メティまで来なさいよ」

「え?」

 数m先を歩くユラちゃんは、髪をふわふわさせて振り返り、微笑む。「あんた、装飾品が好きでしょ。メティはラプラタナにあるのよ。真珠は幾らでも売ってる。そうそう、かつおぶしもあるわ」

 真珠とかつおぶし。どちらかというとかつおぶしにひかれる。

 ユラちゃんは前を向いて続けた。

「それに、あのまちの魚料理はおいしくないのよね。うちの料理人に指導して頂戴。あんたのつくる魚料理なら、なまぐさくもないし、おいしいもの。それに結構、いいとこよ」

「楽しそうだね」

 こちらに来てから、海は見ていない。ラプラタナは海のある地域だ。俺は両親とも、実家が海の近い地域にあって、夏休みやお正月でどちらの実家へ行っても、浜辺で貝や海藻、シーグラスを拾ったり、砂を壜につめて遊んだりしていた。

 べたつくのがいやで泳ぐことはめずらしかったけれど、海には親しんでいる。だから、ちょっといいな、と思った。

 俺の感想に満足したのか、ユラちゃんはまた振り返って、にこっとする。

「無事に下山できるかどうか、わからんぞ」

 リッターくんが水を差しても、ユラちゃんは機嫌よそうな笑顔のままだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ