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羊皮紙を収納する。リッターくんが綺麗なずぼんをはいて戻ってきた。「マオ」
「あまり近寄らないの」
ふらふらっと俺へ近付いてくるリッターくんへ釘を刺し、ユラちゃんはぴょんとソファを降りた。「リッター、どうせひまでしょ。最近調べものばかりでさすがのわたしの腕も鈍ってるかもしれないし、あんた的になりなさい」
えっと思ったが、リッターくんは即座に承諾し、俺達は三人揃って外へ出る。ユラちゃんはぴょこんぴょこん跳ねるように移動した。最近、自分で髪を結うのもうまくなっていて、ツインテールは不格好ではない。
ユラちゃんの髪は、出会った頃から長いままだ。本当なら、シアイルではもう大人だし、貴族令嬢であるユラちゃんは、もう結婚が決まっていてもおかしくない。
結婚後ずっと短いと云うことはなくても、結婚前に一旦髪を切る、ということはある。ユラちゃんもそういうことを、これからしていくのかな、とふと考え、その姿を想像できなくて微笑んでしまう。ユラちゃんはいやなことはいやだと拒めそうだから、髪を切るのがいやなら絶対に切らないだろう。
外に出ると、ユラちゃんは簡単に柔軟体操をする。リッターくんもだ。それから、リッターくんは剣の具合をたしかめ、ちょっと素振りをした。
それを見てふんぞりかえっているユラちゃんに近寄り、ちょっと腰を屈めてささやいた。
「ユラちゃん、杖、かそうか?」
「必要ないわ」
ユラちゃんはふんっと鼻を鳴らす。「杖ってとりまわしが悪いじゃない。わたし来学期からは、杖なしで実技の授業をうけることにしてるの。そもそも、杖に頼らなくっても、わたしの魔法の威力は高いしね」
「お前の体力では杖を持っていると消耗がはやいからな」
リッターくんがうがったことを云い、ユラちゃんに殴られていた。ただし、ダメージをうけたのはユラちゃんだ。涙目で手をぶんぶんするユラちゃんに、俺は苦笑いで、サローちゃんの傷薬をあげた。
ユラちゃんは自分で云うだけあって、やっぱり魔法の威力、それにコントロールが抜群だ。リッターくんが飛んでくる火の塊を避けても、避けた先で雷をくらったりする。雷、めちゃくちゃこわい。
よく考えたら、雷って電気を通しやすいところをすすむ筈じゃん? それなのにどうして、狙った的にあてられるんだろう、ユラちゃん。
ついでに、雷があたっても平気なリッターくんがこわい。不倒……という訳でもないと思う。なんだろう。自然現象の雷と、魔法で発生させる雷では、性質が違うのかな。謎。




