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サフェくんは焼き上がったパイを幾らか分けてくれた。ありがたく収納する。俺達はお魚のパイとローストビーフを食べて、おいしいと云いあった。サフェくんは明日の朝はやくにもう一度焼いて、セティさまとスルくんへのさしいれに持っていくそうだ。
「スルくんと、随分仲好くなったんだね?」
「あ、マオ、やきもちだ」サフェくんはうたうように云ってから、微笑む。「セティさまもスルさまも、子どものトゥアフェーノみたいで、とっても可愛いんだもん」
サフェくんはお兄さん気質みたいだなあ。
メイリィさんがどうしてギルワ・ターカックカップルと仲好くなったのかを訊いてみた。
まず、ターカック嬢と仲好くなったそう。
メイリィさんは家政職だから、家政のお勉強に力をいれているターカック嬢とは、面識があった。ターカック嬢、お裁縫やお料理などを、図書館へ調べに行くだけでなくて、奉公人にきいて実践しているのだ。
そのあと、ギルワさまが自主鍛錬で怪我をした時に、メイリィさんが治療した。それからたまに、ギルワさまの治療をしたり、ターカック嬢から血のしみをどうやって落とすか教えてほしいと要請があって教えたりしていた。
ターカック嬢の要請は、俺も覚えがある。ギルワさまが鍛錬で怪我ばかりしていて、シャツをうまく繕うにはどうしたらいいかとか泥と血の汚れをどうやってとったらいいかとか、訊いてくるらしい、と。
でも、ギルワさまを治療していた、というのは、知らなかった。もしかして、走りこみに行き会う度にギルワさまが俺に手を振ってくれていたのは、俺とメイリィさんが友達だと知っていたからかも。あのふたり、どちらも素直で純粋で、いい子なんだよね。
そんなこんなで、メイリィさんはふたりと仲好くなって、付き添いが申請された、ということのようだ。教えてくれたらいいのに、と、俺とサフェくんはしばらくメイリィさんをからかい、メイリィさんは小首を傾げていた。
オーブン内のお掃除をして、掻い出した灰でいっぱいのばけつを、メイリィさんとサフェくんが運んでいく。灰は集めて、油脂と一緒にせっけんにする。お鍋でぐつぐつするんじゃなく、還元士か、巡らせる者を持った神おろしが、還元でつくるのだ。
俺は乾いた調理器具をもとの場所へ戻し、椅子に逆戻りする。明日、いろんなこの人生の、大きな指標が定まる。定まってしまう。それがなんだか、とてもこわいことのように思える。みんな十代なのに、これから一生付き合う職業を決めなくてはならない。それは、つらいことじゃないのかな。
なんだか気分が沈んでる。




