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トレイを運ぶ。「どうぞ、ミューくん、サキくん」
「ありがとうございます」
ミューくんはにっこりしてうけとり、自分の隣を示す。「ジーナ、ここに」
「ええ。リッター、来たのね」
「ユラに手紙を届けに来た」
ああ、シアイル寮のユラちゃん宛に届いたものを持ってきた、のだな。
俺は微笑み、サキくんの前にトレイを置く。「どうぞ」
「あ、はい……」
「リッターくんも食べる?」
「もらえるのであれば」
俺は頷いて、リッターくん用のお膳を調えに、厨房へ戻った。
「ほーじを呼ぼうと思って、伝糸で連絡してもらったんですけど」
手紙を読み終えたユラちゃんがリッターくんの向かいに、俺はサキくんの隣に座って、お昼を食べている。ミューくんは煮込みハンバーグをフォークで押し切って、割いたパンへのせてかじる。
「神おろしさまがたと食事だとかで、断られました」
「そう……」
「ほーじ、不満そうだったみたいですよ」
ほーじくんはほーじくんで、色々と大変らしい。人脈がどうのこうの、だろう。俺にはよくわからないが、ほーじくんの立場が悪くならないほうがいいとは思っている。
リッターくんは黙々と、ご飯を食べている。サキくんがそちらを見ないようにしているのが、居たたまれない。
お食事はあまり会話が弾まずに終わった。
リッターくんが、突然押しかけたのだから、と、食器洗いを買って出てくれて、俺はリッターくんと厨房に居た。ほかの奉公人は、社交室を片付けに行っている。
俺がウエスで食器を拭いて、リッターくんが洗っている。リッターくんは、魔法のコントロールがうまくできていなくて、俺が度々お湯を出している。
「サキは、戦士になったそうだな」
リッターくんが唐突に云い、俺はお皿を落としそうになった。慌てて掴み直し、リッターくんを見る。「そうだね。前から、戦士がいいと思ってたんだって」
「そうか」
リッターくんは自分から話を振ったのに、頷いてなにも云わない。
俺はまた、ウエスでお皿を拭き、汚れたウエスをくずかごへぽいする。気詰まりで、思い付いたことを口にする。
「リッターくん、宣言はいつか、決まった?」
「なにも聴かされていない。宣言の前日か、前々日に云われることが多いようだ」
ああ、そうだった。ミューくんもまだ決まってないんだった。あほなこと云ったな。
汚れたお皿は全部流しに置いてしまったので、俺は手を洗い、リッターくんが洗ったお皿を拭く。リッターくんが魔法である程度乾燥させているので、作業は楽だった。
食器棚へお皿を仕舞いこんでいると、リッターくんが食器洗いを終え、タオルで手を拭った。「マオ」
「うん?」




