3152
サンドウィッチは、たっぷりのレタス・かりっと焼いたベーコン・揚げ焼きにしてお塩とこしょうを振ったたまごひとつ・スライスしたチーズ、をはさんである。
食糧はどんどんさめていくが、私兵達は熱の魔法であたためることができるし、そうでなくてもサフェくんが戻ってきてあたためなおしてくれる。なにより、皆さんがとっていくスピードがなかなかのものなので、多分大丈夫。
「ありがと、マオ」
「うん」
寒そうにやってきたランスさんは豚汁を一杯片付け、ふうふうしながらおかわりを食べている。お箸ではなくお匙を添えているので、俺には食べにくいように感じるが、ランスさんは器用に具をすくっていた。厚めの豚肉に、いちょう切りの人参・大根、あかめ、油揚げ、という具材だ。お味噌は甘めの麦味噌で、隠し味にお醤油をほんの少しいれてある。
ランスさんは豚肉をもぐもぐしながら、私兵用の建物を顎をしゃくって示す。
「急に、ここで作業するから出てけって、わたし達追い出されちゃってさ」
しかめ面になる。「武器はちゃんと持ってきたけど、ばかみたいにこんな薄着で出てきちゃって」
ああ、それでふたりともローブを羽織っていないのか。
周囲をうかがうと、ランスさん達のように突然建物から追い出されたのか、やたらと軽装な私兵が多々、居た。突然のことだからなあ。
きっと本来は、ここではなくて、上で答案をつくるのだろう。その為のお部屋があるのじゃないかな。情報漏洩しないように配慮してある、さ。突然のことでそのお部屋をつかえなくて、どうせ空き間で試験なのだしと、私兵用の建物をつかっている、気がする。
俺は文句云えた立場じゃないが、せめてローブをとりに戻るくらいできないものかなあ。
「無理だね」
マグを回収したと、アロさんが両腕いっぱいにマグを持ってきてくれたので、収納空間にうけとりながら訊いてみると、即答された。
「どうしてですか?」
「マオもだけど、奉公人は能力証の提出は任意だろ?」
頷く。アロさんは、豚汁のマグを指さした。「もらっていいかな」
「あ、どうぞ」
会釈してすすめた。アロさんはマグをとって、ひとくちすする。
「おいしいね」
「おそまつさまです」
俺の返答がおかしかったか、アロさんはちょっと笑った。それから云う。
「提出は任意だけど、井に問い合わせればわかる。でも、無人の井だったり、協力的じゃない井はある。だから、能力値や特殊能力のわからない奉公人が、どうしても居る。そのなかに、智慧者で伝糸持ちが居たら、筒抜けでしょ?」




