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若い、もしくは御山歴の浅い先生達はまだ、学生さんの授業や課題、試験用には、問題を考えることはできない。
答案の作製には関わるが、羊皮紙なり紙なりを手配するとか、同じ規格に調えるとか、ある程度の地位にある先生がつくった問題を書き起こすとか、それくらいである。
そもそも、課題はレポート形式が多い。コピー機がないからな。表象者は、俺は誰がそうなのか知らないが、ふたりか三人居るみたいで、答案をつくる場合はそのひと達が原本をコピーする。贋作家かもしれないけど。
智慧者も、見たものをそのまま記憶できるので、文章を書き写す訳だから手伝う。といっても、控えや予備のものも含め、学生さん用なら200枚はつくるから、大変な作業みたいで、手伝わされた奉公人達は大概、論文でいいのに、と云う。
そんな大変な答案づくりだが、御山歴の浅い先生達には、つくるのがあこがれなのである。
問題そのものをつくるのは、実績のある先生達なのだ。少しのお手伝いでも、自分達もその仲間入りをしたと思えば嬉しいのだろう。そして勿論、最終的には問題をつくるのが目標である。
その予行演習、というか、トライアルみたいなもので、奉公人の試験用の答案をつくるみたい。答案づくりに参加したいのにできない、という先生がたのガス抜きにもなるしな。
俺が試験をうけた時は、家事をできるひとと収納空間持ちをさがしていたから、実技試験だったのだ。俺の運が相当いいということである。
先生達も気合をいれてつくっているので、毎度々々ではないが、そこそこの頻度で筆記試験が行われる。今回、答案はまだ試作品で、上等な羊皮紙10枚に問題が書かれていた。上の立場の先生がたに確認してもらう為に上等な羊皮紙でつくったのであって、実際はもっと粗雑な紙でやるらしい。
そら、そうだ。あんな羊皮紙を何百枚もで奉公人の試験なんて、経費に煩い事務方が納得しない。
とりあえずまだあらけずりの問題で、でも試験になってしまうから、このままでいくらしい。空き間に表象者が待機していて、ひと晩かけてコピーする。気の遠くなる作業である。
そんな話を聴きながら、先輩に負ぶわれて山道をおりる。
空き間では多くの奉公人が待っていて、天幕用の資材を渡すとどんどん設営していった。「マオ、お疲れさま」
「ワウラさん、ランスさん、お疲れ」
ふたりも設営にかりだされたようだ。ローブも羽織らず、眠そうに目をこすりながら、資材を運んでいく。夜勤を予定していて、仮眠中だったのだと思う。




