3147
サキくんはふたりにも謝っていた。わがままを云ってマオさんをひきとめました、と。
立って頭を下げるサキくんに、ラウトさんが困ったように微笑んだ。「サキさまはもうそろそろ宣言でしたね。皆さん、不安になるものなんです」
「すみません」
「ジアー先生には伝えますが、お叱りはないと思います」
レーイチくんが気の毒そうに云い添える。「ロヴィオダーリ卿が心配しておいででしたよ」
サキくんは、ラウトさんが送っていった。俺はレーイチくんと、奉公人の寮へ向かう。サレテットちゃん達は、シエラくん達ですでにつれて帰ったそうだ。もうお昼を過ぎているし、食事をすませて、洗濯場へ行っているかもしれない。
「リッターくん、なにか云ってた?」
「はい」レーイチくんは相変わらず、俺に対して敬語だ。「サキさまが感情的になっているって。とても心配そうにしてらっしゃいました。ロヴィオダーリ卿らしくなく、動揺しているみたいで……」
そうか。リッターくん、どう思っただろう。
俺にはわからない。でも、うまく行くといいな、丸く収まるといいなと思っている。
お昼はお茶と、ピーナツバターのクッキーですませ、俺とレーイチくんは洗濯場へ走る。サレテットちゃん達はメイリィさんとタイティーダさんが指導していた。「この生地は洗滌人じゃないと洗えないから、間違ってこっちのかごにいれないこと。ああマオ、レーイチ、遅かったじゃない」
「すみません」
歯と歯の間に、クッキーがはさまっていて、発音が怪しい。タイティーダさんは苦笑した。
「いいよ、別に。今、ひととおり説明して、綿地のものを幾らか洗ってもらったところ。今は生地の選別を教えてる」
メイリィさんが頷く。ウィダさんが近くのブースから顔を覗かせた。「タイティーダ、染み落とし手伝って」
「はあい。じゃあ、選り分けお願い。マオ、宜しく」
「はい」
タイティーダさんはウィダさんのブースへ行った。俺とレーイチくん、メイリィさんの三人で、洗滌人が特殊な方法で洗う必要のある服を教えた。大概が、実験をするタイプの研究をしている先生がたのもので、なかでも調剤系職業の先生が洗いに出すものが圧倒的に多い。普通の布では埃がまざって実験が頓挫したり、布地がぼろぼろになってしまったりするのだと説明した。
サレテットちゃん達はのみこみがはやく、さすが、試験なしで合格しただけはあると、俺達は三人を誉めた。実際、凄く優秀な子達だしな。
布地についての説明を終え、タイティーダさんとウィダさんで特殊な布を洗っているところを見学し、洗い上がったものを乾かす手伝いをした。これで、本日のお仕事は終了。
感想ありがとうございます。はげみになります。




