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 サキくんはもぐもぐと、後悔を口にしていた。生まれた国も違えば、同性で、しかも普段そんなに仲が好い訳でもないのに、その上云い争いの最中に、あんなことを云うなんて、と、すすり泣いている。

 水薬を()ませた。壜は返してもらう。「サキくん」

「ごめんなさい。ごめんなさい」

 小さな子どもみたいに謝るサキくんを、俺は両腕でそっと抱きしめる。それくらいしかできない。この子は真面目で、不器用で、可哀相だ。

「謝るようなことじゃないって」

「でも僕」

「ひとを好きになるのは、謝罪しなくちゃいけないことなの? じゃあ俺も謝らないとね」

 サキくんは息をのみ、ぱっと俺を見上げた。「ちがいます、マオさんは……あの、違うんです、僕、マオさんを傷付けるつもりじゃあ」

「うん。わかってる。でも、自分を傷付けるのもやめてね。見てると死にそうな気分になってくるから」

 俺がそう云うと、サキくんは泣き笑いの顔になった。


 サキくんは魔法でお水を出して顔を洗い、俺が出したタオルで顔を拭いて、少しだけしゃっきりした。少なくとも、魔法をつかえるくらいには落ち着いている、ということだ。

「ご飯、食べそびれちゃったんじゃない」

「そうかもしれませんね」

 小さく笑ってくれた。ぺたぺたと頭を撫でる。どうしてこう、ままならないかな。全部うまくいったらいいのに。

 サキくんは俺の手を掴む。「ごめんなさい」

「いいってば」

「違うんです。僕、明日か明後日に宣言らしくて、それを聴いて、動揺してしまって」

「ああ……」

 サキくんは巡らせる者を相当つかいこなしているし、志望は還元士だから、もっと後かと思っていた。

 特殊能力と職業加護が合致しているから、還元の力がもっと強くなるのは自明の理だ。先生がたが放っておく筈がない。だから少なくとも、リオちゃんよりは後だろうと考えていたのに、サキくんが一番のりか。

 サキくんは俺の手をぎゅっとする。

「僕は弱い人間だから、マオさんにもリッターにもやつあたりを」

「それくらいしてもいいよ」頷く。「リッターくんだって、サキくんに対して、きらいだとか、そんなこと云ってないし」

「なにが起こったのかわからないという顔でしたけれどね」

 サキくんは声を沈ませたけれど、すぐにおどけた。「嬉しくてなにも云えなかったのかも」

「そうだね」

「そう考えますよ」

 頷く。サキくんが無理をしているのは、見ていてつらい。けれど、今は、強がるしかないのかもしれない。

「マオ」

 顔を上げると、気まずそうに立っているラウトさんと、レーイチくんが居た。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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