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シークンさまがリッターくんを少しだけ睨んでいる。
「俺とマオが関わりないと……?」
「ああ」
リッターくんは深く頷く。
リッターくん勇者だな。すごくきまずいんですけど。シークンさまの表情がそんなにないところが尚更きまずい。なに考えてるかわからねえんだよあのひと。
「サキ」
リッターくんがシークンさまから目を逸らし、サキくんを見た。サキくんはびくつく。
「少し話がある」
「え?」
「来てくれ」
リッターくんはそう云って、踵を返した。サキくんはきょとんとしていたが、あまりにもナチュラルに誘われたからだろう、リッターくんを追う。シークンさまやほかの連邦寮生は、それを追わない。
えーと。退避!
俺も、シークンさま達にお辞儀した後、ふたりに続いて繁みを越えた。「何故あいつらと付き合いをする」
「それは……」
木かげに居るリッターくんの表情はいつになく険しく、サキくんはまだ、困惑しているげだった。俺はふたりに近付き、リッターくんの袖をひく。「リッターくん、どうしたの」
「俺はシークンが好きではない」
あ、同意見。
俺のほうが百倍、シークンさまをきらっていると思うが、俺に対して以外は素行のいいシークンさまは、学生さんからも奉公人からもそれなりに評価が高く、「好きではない」と表明する人間は少ない。
サキくんの表情が一瞬歪んだ。すぐに、ぎこちない微笑みになる。
「いや、僕だって、彼のことは、特に好きって訳でもないさ」
「ならば、断ればいい。シークン達と一緒に居ると、お前は苦しそうだ」
図星を指されたのか、サキくんはあからさまに動揺した。それから、少し声を高める。「そうだとしても、君に関わりないだろう」
「ある」リッターくんは即座に返す。「お前があのようなふうをしていると、マオがいやがる」
「は、……マオさんの為ってことか」
「俺もいやだ」
それは、俺には本心に聴こえたが、サキくんにはそうではなかったみたいだ。肌がぱっと紅潮し、サキくんは俺の手首を掴んでひっぱる。「君はマオさんかミューが居ないとだめなんだな」
「なにを云っている?」
「なにかにつけ、マオがどうの、ミューがどうのと、君には主体性ってものはないのか?」
声が震えていた。サキくんは俺を、リッターくんに渡すまいとするように、抱きすくめる。「さきくん」
「帝国寮はここよりもずっと北だ、リッター」サキくんはうっすら涙ぐんでいた。「僕には君がこんなところでマオさんを連れ歩いているのがおかしく思える」
リッターくんはぐっと眉根を寄せ、それから溜め息を吐いた。
感想ありがとうございます。はげみになります。
いくりとすもも、ビミョーに差がある気がするのですが、よくわかりません……。




