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バルドさんは魔法をつかえる。戦いもできる。傭兵等級は2だ。
でも、寝込みを襲われ、髪を切られ、パニックになってしまった。
ついでに、せまい部屋に、刃物(植木ばさみ!)を持った謎の人物とふたりきりだ。外から差し込む街灯だけしかなくてくらい。
バルドさんは恐慌状態で魔法をつかえなかった。あわてて武器をとろうとしたがはさみで腕を切られた。
バルドさんができたのは、伝糸で助けを求めること。多人数に話しかけるのは無理だと思い、一番初めに思い付いたヨーくんにだけ声を送った。
そのあとは、うすくらがりのなかなんとか武器を拾い、はさみの一閃をうけながして、別の部屋へ逃げた。
そこへ、颯爽とあらわれたヨーくん、バルドさんを追ってきたストーカのはさみで顔を横薙ぎに切り付けられたものの、怯まずに拳で叩きのめした。
ヨーくん強くない? そしてストーカこわい。
バルドさんは項垂れている。「わたしは髪で済んだけど……ヨーの顔に傷痕が……」
「大丈夫です! これはバルドさんに信頼されてる証ですからね。名誉の負傷ですよ」
「そおそお、逆に男振りが上がったんじゃない? どうしてあんたみたいなへなへなをバルドが可愛がってるんだろって思ってたけど、やりゃあ出来んじゃん。バルド、見る目あるわ」
メイラさんにけなされつつ誉められ、ヨーくんは胸を張る。「とにかく、同じようなことがあったらまた呼んで下さいねバルドさん。いや、あんなことが起こらないようにまもります!」
「ありがとう、ヨー」
ヨーくんは鼻息が荒い。バルドさんはちょっと赤くなっている。ライティエさんがにやにやしていた。
「その……犯人は? どうなったんです?」
「シアイルの人間だが、裾野でのことだからな。裾野で裁くよ」
ラールさんがレバーをもごもごしながら云う。「裾野の人間はかならず裾野で、それ以外は罪を犯した場所で裁く。そういう決まりだ。マオちゃんこれ旨いな」
「バルドの髪がこの辺で切れてるから」ライティエさんが鎖骨の辺を示す。「寝返り打たなきゃ致命傷だったろうし。殺意はあったって判断されて、よくても、お金払った上で裾野から永久追放、かな。マルロ?」
「ですねー。男性の髪の毛を切ってますから、少なくとも貝貨50枚は払うことになるかとー。マオさん、マルロ、おかわりほしいですー」
え、髪ってそんな大切なん? まじでー。
ヨーくんは短くなったバルドさんの髪をひょいとすくう。
「ああー、勿体ないなあ。バルドさんの髪の毛、やわらかくて最高の手触りなのに」




