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ファラワさんの云う通り、ベーコンはすぐに運ばれてきて、おかわりに対応できた。栄養士さんって居ないのかな、と思ったけれど、恢復魔法が存在するし、車だ電車だなんてものはない世界である。少々カロリーを多めにとったところで、なんともないのだろう。
食べ盛りの学生達が広間に居る間は、ディロさんのことはあんまり考えないで居られた。というか、そんなひまはない。おかわりが相次いだし、こういうものを食べたいからつくれ、と云われたら対応しなければならない。俺とルクトくんは、めじなのバター焼きをつくったり、鯛のスープ(とろっとしたタイプ)をつくったり、ピロシキをつくったり、した。
でも、最後のひとりがいなくなり、片付けが始まると、みんな口を噤んでしまう。
アロさん達は、そんな俺達に、無理に喋らせようとはしなかった。同じように、ただ黙って、片付けをしてくれる。奉公人が辞めたいと云うのに、慣れているのかな、と思った。御山の奉公人が次々辞めていくのは有名な話だ。もしかしたら、この十日、誰も辞めなかったことが不思議なのかもしれない。
調理台も調理器具もぴかぴかになり、やるべきことが終わると、ファラワさんが云った。「ずっとここに居ても、息が詰まるから、外に出ない? 草むしりついでにさ」
俺達はふたつ返事で賛成した。なにかやっていたかったのだ。ディロさんがどうなったか、解らないのに考え続けるのは、苦しいから。
草って元気だよね。むしってもむしっても生えてくる。どこかに残った根から。
俺は、その辺に生えている草に薬材も含まれていると解っているから、それを狙ってむしっていった。後で先輩に渡せば、調剤系の職業を目指す学生達が授業でつかうことになる。そんなシステムなのだ。奉公人は御山に貢献してる。
だからこそ、ディロさんは今の扱われかたに納得いっていないのかも。学生達の衣食住を整えて、勉強の助けになることまでやって、それなのに罵られぞんざいに扱われるっていう情況が、いやなのかな。
持論だけど、いざとなったら辞めることのできる奉公人と違って、学生は余裕ないと思う。退学もできるだろうけれど、できる限りのことをして、できる限りの成績で下山したいのが人情じゃなかろうか。人脈づくりもあるしさ。
だから、常にぴりぴりしてる。優秀な子ばかり集めるんだから、それまでずっとトップをとってきたけれど陥落、ってことはあるだろう。だから態度がきついのは、焦りもある。




