表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2229/6891

2114


 ファラワさんの云う通り、ベーコンはすぐに運ばれてきて、おかわりに対応できた。栄養士さんって居ないのかな、と思ったけれど、恢復(かいふく)魔法が存在するし、車だ電車だなんてものはない世界である。少々カロリーを多めにとったところで、なんともないのだろう。

 食べ盛りの学生達が広間に居る間は、ディロさんのことはあんまり考えないで居られた。というか、そんなひまはない。おかわりが相次いだし、こういうものを食べたいからつくれ、と云われたら対応しなければならない。俺とルクトくんは、めじなのバター焼きをつくったり、鯛のスープ(とろっとしたタイプ)をつくったり、ピロシキをつくったり、した。

 でも、最後のひとりがいなくなり、片付けが始まると、みんな口を噤んでしまう。

 アロさん達は、そんな俺達に、無理に喋らせようとはしなかった。同じように、ただ黙って、片付けをしてくれる。奉公人が辞めたいと云うのに、慣れているのかな、と思った。御山(おんやま)の奉公人が次々辞めていくのは有名な話だ。もしかしたら、この十日、誰も辞めなかったことが不思議なのかもしれない。

 調理台も調理器具もぴかぴかになり、やるべきことが終わると、ファラワさんが云った。「ずっとここに居ても、息が詰まるから、外に出ない? 草むしりついでにさ」

 俺達はふたつ返事で賛成した。なにかやっていたかったのだ。ディロさんがどうなったか、解らないのに考え続けるのは、苦しいから。


 草って元気だよね。むしってもむしっても生えてくる。どこかに残った根から。

 俺は、その辺に生えている草に薬材も含まれていると解っているから、それを狙ってむしっていった。後で先輩に渡せば、調剤系の職業を目指す学生達が授業でつかうことになる。そんなシステムなのだ。奉公人は御山(おんやま)に貢献してる。

 だからこそ、ディロさんは今の扱われかたに納得いっていないのかも。学生達の衣食住を整えて、勉強の助けになることまでやって、それなのに罵られぞんざいに扱われるっていう情況が、いやなのかな。

 持論だけど、いざとなったら辞めることのできる奉公人と違って、学生は余裕ないと思う。退学もできるだろうけれど、できる限りのことをして、できる限りの成績で下山したいのが人情じゃなかろうか。人脈づくりもあるしさ。

 だから、常にぴりぴりしてる。優秀な子ばかり集めるんだから、それまでずっとトップをとってきたけれど陥落、ってことはあるだろう。だから態度がきついのは、焦りもある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ