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次は、広間だ。帝国寮の学生達が、お食事をするところ。
奉公人の寮の広間よりも、少し大きい。長四角のテーブルが等間隔に並んでいて、社員食堂感があるのは同じ。
でも、テーブルも椅子も、奉公人の寮のもののほうが、品がいい……かもしれない。俺は目利きじゃないから解らないが、なんとなく。
「僕は天井をやるから、マオ達はまず、椅子の足を綺麗にして」
「あ、そうだ、エイジャさん、ちょっといいですか?」
「うん? なあに?」
俺はにこっとした。「俺の収納空間なら、これ全部収納できます。それからお掃除しませんか」
エイジャさんは戸惑い顔だったけれど、俺がテーブルや椅子を収納していくと納得してくれた。なので、広間中の家具を収納し、エイジャさんが天井を、俺とメイリィさんが壁を拭く。
天井からテーブルや椅子へ埃が落ちたら、それを掃除するのが手間だ。だから、そのやりかたはとても楽ちんなのである。
エイジャさんが天井を拭き終え、その後三人で床を磨き、拭き、ワックス掛けをして、テーブルや椅子をもとに戻した。ちゃんとそれぞれの足裏を拭いてからだ。俺の腕力だと椅子しか巧くできないが、ふたりは体力もあるので、テーブルでもなんでも軽々扱っている。
すべての椅子の足裏を綺麗にしたので、再び、俺は雑巾洗いに向かった。雑巾の数が少ない気がするなあ。後でエイジャさんに相談して、俺が雑巾係になろう。沢山収納しておくのだ。そうすれば、最後にまとめて洗えばいい。
もとの世界なら干すのが手間だろうけれど、こちらには風魔法や家政魔法があるから、問題ない。まあ、もとの世界でも、乾燥機があるけどね。綺麗に洗いさえしていれば、乾燥機にいれてもいいと思うんだよなあ。第一、乾燥機って結構な温度になるから、清潔だし。定期的なお掃除は(糸くずで大変なことになるから)必要だけどさ。
本日二度目の雑巾洗いは、アーシェさんと一緒になった。サフェくんはセティさまのことが本当に恐怖だったみたいで、ひとりで学生に会いたくないと、雑巾洗いを拒否したらしい。先輩奉公人達は苦笑いで、でもサフェくんの気持ちを汲んでくれた。職場として素晴らしいと思う。
「そんなにこわいの? 学生さん達」
「うーん。俺はあんまり。アーシェさんも平気じゃないかな」
「そうだといいけど……」
サフェくんは、学生達と歳がそんなに離れてないからな。俺は、セティさまと比べたら、ひとまわりも違う。それくらい歳下になると、文句を云っているのも可愛く見える。
大体、あれくらいの年齢の子は、色々不満だらけなのが普通だしね。文句を云わない子のほうがこわい。




