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 アーチの向こうの廊下は、明るかった。目を慣らしておく目的だろう。地上に出るのだもの。

 俺含め、新入り達は、最後尾でちょっとびくついていた。ああ、メイリィさんだけは平然。いつものことだけど。

「新入りさん達、解らないことがあったらなんでも訊いてね」

 前のほうから、アロさんが云った。俺達新入りは、はい、と返事する。

 ゆるいカーヴや、曲がり角があり、二分くらいで先輩達があしを停めた。俺達もそうする。

 前方には、階段があって、先頭の奉公人がのぼっていった。天井、というか、隠し扉をほんのわずかおしあげて、外の様子を見ている。「大丈夫そう」

 呟くように云って、出ていった。先輩奉公人達は、水が流れるみたいに優雅にそしてすばやく、それに続く。俺達新入りも慌てて追いかけた。

 安定の最後尾をキープしていた俺は、隠し扉にあしを食べられそうになりながら、なんとか外へ出た。隠し扉は重さは乏しいのだが、閉じようとする力が強い。右足を嚙まれた。痛い。


 俺のひとつ前に外に出ていたメイリィさんが、無言で恢復(かいふく)魔法をかけてくれた。ありがとうと低声(こごえ)で云う。メイリィさんは反応しない。メイリィさんや、ほかの奉公人達の恢復(かいふく)魔法のおかげで、今日は筋肉痛なしだ。

「えっと……新入りさん達は、僕についてきて。エイジャとトルも、指導係お願い」

「解った」

 アロさんと、先輩達が喋っている。俺は自分がどこに居るのかと、四辺を見ていた。屋内だった。帝国寮、ということだろう。

 天井が高くて、なんて云うのか知らないけれど、欄間みたいな装飾的な壁がある。全体、焦げ茶とか黒、それに銀の、落ち着いた風合いだ、つやつやにワックスがかかった茶色の床の、その一部が隠し扉になっているなんて、そこから出てきた俺でも信じられない。

 後、ちょっと吃驚したのは、グランドピアノが置いてあることだ。そりゃあ、過去にも俺やキョウスケさん達、緑珠さん達みたいに、異世界から飛ばされて来たひと達が居たみたいだし、そもそも開拓者が色んな世界から神さまをつれてきてる。そのなかの誰かが、グランドピアノの製法を知っていたって、なんらおかしくない。

 のだけれど、もとの世界へ戻ったみたいな、違和感があった。ここだけ別の世界みたいだ。

 グランドピアノに目が釘付けになっている俺に、アロさんが優しく云う。「それ、ピアノって云う、楽器だよ。なにかこわいものじゃないから、安心して」

 俺の表情は、険しかったようだ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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