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その日は、お風呂にはいって、名簿をとりあえず最後のページまで眺めた。眠くなってきたので、名簿は収納し、寝た。ベッドはかためで寝心地はよかったし、毛布のおかげで寒くもない。
十一月十四日、下働き開始だ。
洗面所でメイリィさんとばったり顔を合わせた。メイリィさんは朝風呂したみたいで、下着姿で髪を乾かしている。「おはよ、メイリィさん」
メイリィさんは頷くだけ。徹底している。
俺は歯を磨き、収納しておいたローブをとりだして羽織った。最初に部屋に這入った時はなかったけれど、ご飯を終えてから戻ったら、ベッドの上に置いてあったのだ。奉公人の、寸足らずのローブである。
メイリィさんは髪を乾かして服を着込み、やはりローブを羽織る。一緒に廊下へ出て、広間へ向かった。
「あ、おはよ、マオ、メイリィ」
「おはようございます」
ファラワさんが部屋から出てきたところだった。後ろからアロさんも出てくる。「おはよう」
「今朝はますのバター焼きだよ」
「パンはディファーズふう」
だから最高じゃんこの職場。はやく食べたい!
広間には、昨日は見かけていない奉公人が、沢山居た。配膳したり、ご飯を食べたりしている。急いだふうではあるけれど、焦っている感じではないし、お喋りもちらほら聴こえてくる。
「おはよ」
「おはよう。サフェくん、俺と一緒だっけ」
お膳を持って、サフェくんの隣に座った。ルクトくんが真剣な顔でメモしている。
「うん、マオと一緒。帝国寮」
「わたしは神聖公国寮。ワウラとディロと一緒」
「どうして残念そうなの、ランスちゃん」
ディロさんが抗議し、ランスさんは首をすくめる。ワウラさんははっはっと笑った。
ますのバター焼きは塩加減が絶妙で、パンは歯応えのある表面と、もっちりしっとりきめ細かいクラムが最高。入山者っていいもの食べてるんだなあ。
なすびのスープを三杯食べ、アムブロシアもボウルふたつ分食べた。サフェくんは、緊張しているらしいが、食べる量はいつにも増して多い。あと、はやい。
俺も急いで食べて、歯磨きに走った。先輩達が食事を終えて、続々と出発していたからだ。
広間へ戻ると、俺達はふたグループに分けられ、それぞれ先輩達についてアーチを潜った。お昼は戻ってご飯を食べるということだけれど、ワウラさんにサンドウィッチを幾つか渡しておいた。もし、あっちのグループでなにかあっても、ご飯だけは大丈夫。こっちも勿論、俺が沢山食糧を持っているから、心配はない。
でも、その段になって、ちょっとだけ緊張してきた。




