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ご飯は文句なくおいしかった。できたてだし、それぞれ不得意なものはぬいてあるそうで、皆さん感激している。苦手なものを食べさせられるのって、いやだもんな。
しかも、おかわりは自由だった。なんだよ、最高の職場じゃないか。お給料はいいし、ご飯は食べ放題で、先輩達も優しく、和やかな雰囲気。悪いところが見付からない。
って、ことは、多分仕事が本当につらいのだ。これだけいい環境でも、つらいと云って辞めるひとが後を絶たないのだから、余程の激務なのだろう。
私兵達が次々、戻ってきて、やはりアーチから出ていった。最後に戻ってきた、お風呂にはいって金髪がなおぴかぴかしているストリイ先生が、俺達のテーブルへ近付いてくる。
「マオ、御山の食事は口に合う?」
「はい」
「それはよかった。実際のところ、奉公人が食べているご飯が一番旨いんだよ。だから僕は、毎日のようにここで恵んでもらってるんだ。教員寮は、研究に影響があるとかで、油をぬいたみたいな食べものしか出てこないから」
あー、油って意外に揮発するからな。壁とか天井とかべったべたになる。なにか研究している先生が居て、揚げものとか炒めものは禁止なんだろう。
ストリイ先生はにこにこしている。
「それにしても、目の保養だなあ。奉公人は綺麗な子が多いけれど、あなたは別格だね」
「はあ」
「あの、先生」
サフェくんが割ってはいった。ストリイ先生がサフェくんを見、ランスさんとワウラさんがほっと息を吐く。サフェくんはほんのり赤くなっていた。
「やあ」ストリイ先生は小首を傾げる。「もうひとり別格が居たみたいだ。なんだい、農芸者に庇護された君?」
サフェくんがもっと赤くなった。農芸者ってなに。
「あ、えと、サフェと云います。あの、質問しても?」
「勿論、サフェ。僕に恋人が居るかどうかなら、質問されなくても答えるよ。今は居ないってね」
それに関してはサフェくんは興味がないみたいで、一瞬吃驚したみたいな顔になった後、云った。「さっきの……私兵達は、なんだったんですか? すぐに出て行ってしまって」
「ああ、まだ聴いていないんだね。彼らは鍛錬の為に、毎日三十人から四十人で、御山と下を三往復するんだ。三回目の往路を終えたらここでご飯をもらって湯をつかい、また下へと向かう。そうだな、四日に一度くらいの割で組み込まれるよ。実技の教官が監督する立場なんだけれど、実際に一緒に走りまわるのは僕ら補助の教官って訳」
えーと、私兵は百五十人前後か。多いのか少ないのか、解らない。




