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 ジアー先生はアロさんと出ていった。ファラワさんという奉公人が、ジアー先生に俺達のことを託されていた。困った顔で、布巾を揉みしぼっている。

「ええっと……もう少ししたら、配属先が解るから、それまでここで休んでいて。働くのは明日からだし……あ、そうだ、鍵を渡すから、お部屋の片付けでもしていて」

 困った眉のまま微笑んで、ファラワさんは壁につくりつけの戸棚へ駈けていく。なかから鍵束をとりだして、鍵を幾つかぬく。ファラワさんは俺達の部屋を把握していて、迷うことなく鍵を渡してくれた。

「じゃ、僕はご飯の仕込みがあるから。じゃあね」

 にこっとして、ファラワさんは居なくなった。俺達は目を交わし、鍵を見る。

「……片付け、しよっか?」

「そうね」

 突っ立って待っているのも落ち着かないので、俺達は再びふたてに分かれ、部屋へ向かった。

 先程はジアー先生が居たので、私語はなかったのだが、今度はお喋りしながら歩いた。

「髪、短いひとが多いですね」

「ああ、そうだねえ」

 ルクトくんが云い、アーシェさんが応じる。そういえばそうだ。俺は髪の長い男のひとのほうが気になるので、短いことは見逃していた。

「女のひと、少ないし」

(たし)かに偏ってたね」

「結婚して辞めるひとが多いんじゃないかな」

 あ、そういうのもあるのかな。うーん。


 錠を外し、部屋に這入った。やることは特にない。収納しているほうが便利で楽だし、無駄も少ない。衣装戸棚の出番はないだろう。

 ひとつだけ、寒そうだったので、毛布を二枚出してベッドにかけておいた。うすいかけ布団だけだったのだ。暑かったら脱いだらいいし。

 お風呂ってあるのかなあ、と不安になっていると、ノックの音がした。サフェくんだ。俺は廊下へ出る。

「先生、戻ってきた?」

「ううん。ファラワさんが、お手洗いと風呂の場所教えてくれるって」

「おお、助かる」

 ファラワさんは困ったみたいな微笑みで、廊下の端にあるお風呂場まで案内してくれた。お風呂の隣がトイレだ。

 お風呂はふたつあって、俺とメイリィさんは向かって右、それ以外は向かって左をつかうように注意される。またしても謎の区分だが、そう云われたらそうするしかない。

 お風呂は、這入ると洗面所で、洗面台が幾つか並んでいた。排水設備は完璧だ。ネームタグのついた籐かごの並んだ棚があって、きがえや汚れものはそこへ置く。洗濯に関しては、洗滌人である奉公人がやってくれるので、かごにいれておけば間違いない。

「洗滌人じゃなくても、洗濯場に配属されることもあるからね」

 ファラワさんは困った顔でそう云っていた。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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