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奉公人が三人居て、お掃除中だった。ジアー先生がにっこりして頷く。「精が出るね」
「はい、ジアー先生」
「彼らが新しくはいった子達だよ。きちんと指導してくれ給え」
三人は微笑んで、こっくり頷いた。厳しい労働環境ではあるみたいだけれど、奉公人は感じがいいし、先生も優しい。ほっとした。
広間の壁には、アーチがむっつあった。それぞれ、廊下へとつながっている。一番近くのを覗いてみたが、廊下の向こうはカーヴしていて、どうなっているのかは解らない。
ジアー先生が手を打ち鳴らし、俺達はそれへ注目する。「むっつの廊下は、それぞれ、各寮、学舎、図書館へつながっています」
ぽかんとしてしまった。どういうこと?
ジアー先生が丁寧に説明する。各寮の厨房担当だけはそちらで寝泊まりしているが、普通奉公人はここから、各寮や、学舎、図書館へと出勤する。廊下の先は階段になっていて、そこをのぼりきるとさっきのような隠し扉があり、それぞれ学生の這入りこまない場所へ出られるようになっている。扉はこちら側からは開けられるが、反対からは開かない。だから、戻りは入り口から。
何故、そうまでして奉公人が隠れないといけないのか、見当もつかないが、御山ではそうだというのなら従うしかない。俺達は理由が解らないまま、説明を飲み込んだ。
アロさんが、羊皮紙の束を持ってきた。俺達の雇用契約書だ。体裁は整っていて、俺達はサインするだけだった。
年間の報酬は、貝貨48枚。これは、相当な高給だ。サフェくんやルクトくんの目がまんまるになっている。
基本的に休みはなし。休みたい場合は申請して、通れば休める。忌引きなら絶対にできる。これは予測していたけれど、実際はっきり云われると、たじろぐ。気軽にお買いものなんてできないってことじゃん。セロベルさんの云う通りに、色んなお店と契約しといてよかった。
あとは、守秘義務。学生含む入山者に関する情報、発表前の研究に関する情報、それから奉公人の寮に関してはすべて、御山以外で喋ってはいけない。破ったら即、荒れ地行きだ。
勿論、どんな業務だったとか、すでに大々的に発表された研究に関して、あとは当人の許可を得ていれば、喋ってもいい。
俺達はその場で同意し、サインした。アロさんが契約書を回収し、サインする、証人らしい。
ジアー先生がアロさんに低声でなにか云い、ふたりでくすくす笑い合っている。やっぱり雰囲気はいいな。お給料も相当高いし、どうしてすぐに辞めちゃうんだろ。
レビュー戴きました。ありがとうございます。




