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「云ってくれたらすぐに助けてあげたのに」
「ほんと。振り向いたら誰も居ないんだもん、肝が冷えたよ」
「ごめん。ありがと」
ランスさんのせなかで、サフェくんは青息吐息だ。アーシェさんを軽々背負っているワウラさんが、ははっと笑った。
遅れていた六人(やっと数えるくらいの余裕が出た)は、俺も含めてそれぞれ、別の奉公人の背に負ぶわれていた。俺は、意外に体力のある、メイリィさんに負ぶってもらっている。「ありがと、メイリィさん」
メイリィさんは軽く頷くだけ。
俺達を負ぶっている六人は、平然と階段をのぼり続けている。尋常じゃない。「遅れちゃったよね。ごめん」
「謝らなくっていいの。それくらいでくびになるんならもういいし」
ランスさんは怒った口調だ。「ほんとに、はやめに云って。こういう時はさ。あんた達を置いていくような冷たい人間だと思ってるの? わたし、それに腹がたってるんだよね」
「ごめんなさい」
「謝らないで答えて」
「えっと、そうじゃなくって、ランス達に迷惑かなって」
「こうなってるのが迷惑なんですけど」
「みんなー、だいじょうぶー?」
上のほうで、ディロさんがぴょんと跳ねた。両手を元気よく振っている。「もうすこし! がーんばーってー!」
ワウラさんがくすくす笑った。
「元気ねえ、ディロ」
「マオのこと負ぶうっていってたもんね」
「体力だけで考えるならいけるけど、あの身長じゃ無理でしょ」
ディロさん、小柄だからなあ。
ディロさんと合流した。ディロさんは何故か、俺達と手をぱちんと打ち鳴らす。それから、最後尾につけた。「転んでもわたしがうけとめるからね」
「あんがと、ディロ」
暫く行くと、ルクトくんと、えっと、戦士の女性、シアイル系で、中肉中背の……ヴィオウサさん、が待ってくれていた。俺はルクトくん、サフェくんはヴィオウサさんのせなかに移動する。メイリィさんが簡単に恢復魔法をかけてくれた。
また暫く行くと、ほかの奉公人が待ってくれていて、誰かがそのせなかに移る。その繰り返し。俺達はまるっきり、荷物のような扱いだ。でも、嬉しかった。だって、あしがこんなんじゃ、自力で階段のぼりたくても無理だもん。
みんな、いやがりもせずに俺達を負ぶって、階段をのぼっていく。同期がこういうひと達でよかった。後でなにか、お礼しなくちゃ。さいわい、収納空間にはまだまだ調理済みの食糧がある。色々食べてもらおう。
結局、俺達は十五人で寄り集まり、一団となって階段をのぼっていた。時折、俺達がせなかを移動することはあったが、誰もいやな顔はしない。それどころか、はげましてくれる。俺達を負ぶっているほうがつらい筈なのに。
感想ありがとうございます。はげみになります。




