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ていうか、図書館に配属されるといいな。仕事で這入り放題だもの。ちょこちょこ本を盗み読むくらい、できるのじゃなかろうか。
ほーじくんと会えるかなあ。会いたい。神聖公国寮。あ、サキくん、どうしよう。最初に会いに行くって約束した。今日会えるかな。どこに居るんだろう。ジーナちゃんの顔を見たいな。元気がないなら、フルーツゼリーをさしいれなくちゃ。厨房ってつかっていいのかな。つかえなかったらどうしよう。
漠然とした不安と希望で、自分でもよく解らない方向へ思考が逸れはじめた。
セロベルさんの話を聴きながらも爪を磨いていたメイリィさんが手を停め、そして馬車も停まった。
馬車をおりる。サイレくんの云う通り、晴天だ。
西の二の門が近くにそびえていた。馬車が幾つか溜まっている。セロベルさんがサフェくんに手をかし、おりるのを手伝っていた。ここの傾斜はそうでもないのだが、それでも斜めになっているので、バランスをとりにくい。
おそらく、昨日の試験でうかったであろうひと達が、二の門の前に立っていた。総じて若い。ひとり、三十代かな、くらいのひとは居るが、後は二十代か十代だ。下働きは激務らしいから、若くないと務まらないと判断されるのかもしれない。
こちらの女性陣やサフェくんはともかく、俺とメイリィさんに気付くと、大概のひとが不審げにした。どちらも、ピアスをつけていない男だ。違和感があるのだろう。
セロベルさんは荷物についての申請で、門を離れた。かなり北へ行ったところに、事務局のようなところがあって、そこで手続きをするらしい。代行は可能なので、セロベルさんが俺以外の五人の荷物について、まとめて申請してくれるのだ。
残された俺達は、なんとなくかたまって立っている。ほかの合格者達も、おそらく同じ組で合格した同士でかたまっている。なかには傭兵というか、護衛を連れているひとも居た。俺とメイリィさんを睨みつけてくるので、そちらを向かないようにする。奉公人同士は仲好く、助け合わないといけないのに、歩み寄りが大変そうだなあ。
やることもないし、シシース先生はまだあらわれない。ひまだ。ついでに、おなかすいた。
「これ、食べます?」
収納空間から、チキン南蛮のラップサンドウィッチをとりだした。えーと、テレビリモコンくらいのサイズ。小麦粉・とうきび粉・お塩・お湯をまぜて焼いたかための生地の上に、ちしゃ・お水にさらしたスライスたまねぎ・千切りにしてお塩でもんだ人参・棒状にカットしたチキン南蛮・タルタルソースもどきを重ね、くるっとまいたもの。それを、油紙で包んである。
サフェくんが顔を耀かせた。




