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 四月の雨亭には、ティーくんとリェンくんが来てくれていた。どちらも、餞別だと、せっけんやナッツなんかを沢山もって。

 それと、リーニくんからのお祝いだという、ドライフルーツも。

 お昼には御山(おんやま)へ着いていないといけないので、お昼ご飯はここで食べられない。俺はふたりをお茶に誘い、グエンくんを交えて四人でテーブルを囲んだ。

 ランスさん達五人は、荷作りや、それぞれやりたいことがあると、離脱した。家政職のふたりは、グロッシェさんに訊きたいことがあるそう。ランスさんとワウラさんは、セロベルさんバルドさんヨーくんと、簡単な打ち合い。サフェくんは、収納空間の整理整頓。そうそう、俺も思い出して、イルクさんから託されていたものをセロベルさんに預けておいた。荒れ地文字の研究家さんがほしがっているっていう、クレヨンみたいなやつ。


「なんか変な感じ」

 リェンくんが含羞んで笑っている。「大声で笑いたい気分」

「俺もだよ。マオ、よかったな。それと、ありがとうな、俺の店のこと、娼妓達のこと」

 向かいの席のティーくんが手を伸べて、俺の手を掴む。俺は頷いて、にこっとした。

「ティーくんもリーニくんも、命の恩人だからね」

「……そうかよ。じゃあ、リーニのことは心配すんな」

「うん……」

 リーニくんは、ひと言だけど、ドライフルーツに手紙を添えてくれていた。おめでとう、と。

 ティーくんは、リーニくんと直に会えなかったそうだ。険しい顔のラールさんと二・三、言葉を交わした。それだけ。秋の娘亭は営業しているけれど、リーニくんはお家から出てこない。ラールさんは傭兵協会に顔を出さないし、警邏隊のお仕事も休んでる。

 御山(おんやま)にはいる俺にできることは、現状、なにもない。だから、ティーくんや、セロベルさんとか、信頼できるひとに託すしかないのだ。

 ティーくんと目を合わす。「お願い」

「ああ。心配要らない。南五番の今の顔役に言付ける。山道掃除の時に、お前に伝えてもらうからさ。リーニが元気にばかやってるって」

「俺も、協力するから」リェンくんが、ティーくんの手ごと、俺の手を両手で包む。「任せて」

「僕もね」

 グエンくんがリェンくんの手の上に手を置いた。俺達はすばやく目を交わし、にっと笑って手を解く。まるでなにかの秘密結社みたいだ。このひと達は、信頼できる。


 すっきりしたお茶と、くるみのパイ。どちらもなくなるまでに、三人からは充分注意された。「いいか、すきをみせるなよ」

「学生さん達って結構……な、リェン」

「うん」

「あいつら無駄に元気なんだからさ」

「マオ、せめて指環はつけてね」

「どうせだから、耳に穴開けてく?」

 俺はうんうんと頷いていたが、ピアスホールだけは拒否した。こわいもん。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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