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サローちゃんのシャンプーとヘアコンディショナーは、途轍もない威力を発揮する。サフェくんの髪はつるつるのさらさら、ぴかぴかの天使の輪が眩しいくらいの洗い上がりだ。
ちなみにメイリィさんは、まったく遠慮せずにつかっていた。絶対気が合う。
お礼ということか、メイリィさんが髪を乾かしてくれた。家政魔法だと思う。ほんとに、便利。
宿泊棟へ向かうふたりを手を振って見送り、俺は自分の部屋へひっこんだ。
なんとなくケータイを確認したが、特に変化はない。すぐに電源を落とし、収納する。
お風呂で歯を磨いたし(三人で並んで!)、収納空間からとりだしたノートもどきに簡単に日記をつけた。簡単も簡単である。「十一月十二日 下働きの試験にうかった。」、それだけ。それ以外に書くことなんかない。
明日になったら俺は御山に、だから、ほーじくんのすぐ傍に、行くんだ。
十一月十三日、サキくんのことを考えながら目が覚めた。
上体を起こし、なんだっけ、と暫く考える。「マオ、起きてる?」
グエンくんだ。ドアを開けて、俺を見ると、にこっとした。
「用意しないといけないものがあるんでしょ? セロベルさんが買いものにつれてってくれるって。マオの同期のひと達も一緒」
「かいもの?」
「ほら、身のまわりのもの。入山者みたいにお店と契約したほうがいいんだって。マオは沢山持っていけるけれど、奉公人だと自由に御山を降りられないから、やっぱり契約は居るみたいだよ」
ああ……そうか。奉公人だって人間だから、服やくつ、それからはぶらしだとかせっけん、もしかしたら筆記具も、必要にはなる、よな。
俺が頷くのを見て、グエンくんはドアを閉めた。俺は、ベッドを降りて、思い出す。御山に行ったら、一番最初に、サキくんに会いに行かなくちゃ。そう約束したから。
大急ぎの朝ご飯(やきぶたたまご飯もどき、ブロッコリーとコーンのお味噌汁、人参のラペ、ラズベリーパイ、チーズと腸詰めをまきこんだパン)のあと、俺達奉公人は、セロベルさんの先導で出発した。下着屋さんとか、くつ屋さん、服屋さん、それからはぶらしのお店に、せっけんのお店、本屋さん。本屋さんは、案の定、筆記具の為。奉公人には必要なものみたい。
収納空間があるのは、俺、サフェくん、ワウラさん。
でも、サフェくんもワウラさんも、いざという時のきがえとか、お金、魔力薬くらいしか、普段は収納しないらしい。だから、行く先々で、実際にものを買いこんで収納するのは、俺だけだった。




