表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2170/6895

2059


 うーん。俺以上に、のんびりしているひとみたいだ、メイリィさん。気が合うかもしれない。

 ディロさんが困った顔になった。「あの話は、あれでお仕舞よ? 合格したのは全部で十五人だって。それだけ」

 メイリィさんは首を傾げる。ディロさんが慌てた様子で付け加える。

「そうそれと、仲好くしなさいって。それだけ。ほんとにそれだけ」

 メイリィさんはゆっくりと反対に首を傾げ、不審げに眉をかすかに寄せる。でも、納得いったのか、無表情で顔の傾きをもとに戻した。

「なにか、追加で、訓示があるのかと思ったのに」

「あんたそんなに長い文章喋れるのね」

 ワウラさんが驚いた声を出す。失礼だが、俺もちょっと驚いていた。ディロさんは口をぽかんと開けているし、ランスさんも似たような表情で、サフェくんは手を停める。

 メイリィさんは目をちょっと細めた。

「必要があれば」

「あ……そう」ワウラさんはくすっとする。「そうよね。必要に迫られりゃあ、誰だって会話くらいするわ」

 メイリィさんが頷く。


 結局、話題は別のことにかわった。先生達の名前を覚えないといけないのが心配だとか、学生達の名前も覚えたほうがいいのかもしれないとか、収納空間が審査されたのは研究資料を運ばされるからではないか……とか。

 もし、研究資料を運ばされるとしたら、図書館に這入れるかもしれない。その時に本を読む時間があるとは思えないけれど、可能性があることは頭の片隅にとどめておこう。

 五人は、今夜は四月の雨亭に泊まってくれる。「奉公が決まったお祝いに、観光案内で一番のお宿に泊まるって贅沢」

「わたしも、今までの努力へのご褒美ってところね。いい部屋とっちゃった」

 ディロさんとワウラさんは上機嫌だ。ランスさんと一緒に、お風呂を堪能してくる、と居なくなる。

 サフェくんはもう少し食べたいそうで、食堂に残った。俺は、ふらっと出ていったメイリィさんを追う。掴みどころのないひとで、前庭で空を見上げていた。月は出ていないし、星も少ないのに、わざわざ魔法の灯を出して。

「あの」

 声をかけるとメイリィさんは、ゆっくり振り返る。目が合った。

「どうして、追加で訓示があると思ったんですか?」

 メイリィさんはまた、首を傾げ、もとに戻す。中肉中背、と思ったけれど、首が結構太いから、体を鍛えているのかな。

 メイリィさんは、考えるような沈黙の後、いう。

「奉公をしていたひとは、御山(おんやま)は、つらいところだと、云う。だから、なにか厳しい条件とか、労働があるのだと思う」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ