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食堂は明るくて、光が目に染みた。目を細め、席へ戻る。
「長かったね」
ディロさんがゴブレットをかたむける。「お友達?」
「はい」
躊躇はしなかった。向こうがそう思っているかは解らない、というか多分思っていないだろうけれど、俺はロイネちゃんを友達だと思っている。少なくとも、ただのお客さんだとは考えてない。
ディロさんは椅子の上で上下した。ちょっとはねたのだろうか。
「素敵なお友達」
「お祝いに来てくれたってことね。よかったじゃない」
ワウラさんがにっこりする。俺は否定しない。ぺらぺらと喋るようなことではない。ロイネちゃんの個人的な話だ。
お握りはまだあった。掴んで、食べる。冷えていて、嚙みしめると甘い。
「あ、そうだ、みんなにも話しておかなくちゃ」
ディロさんがゴブレットを置いて、膝の上に手を遣る。職業が家政婦だから、家政魔法を生かしたお仕事をしているのだろうけれど、小さな手は荒れていなかった。
「あのね、わたし一旦宿に戻った後、荷物の搬入について傭兵協会できいたのね。結構色々持ってきてて。荷物を運ぶのは御山で手配したひとがやってくれるんだって。……それでね、奉公人にも、部屋は与えられるの。四人部屋か、ふたり部屋か、ひとり部屋。勿論、学生とか、先生達とは比べものにならないようなものらしいんだけど、一応。嬉しいよね」
「ひとり部屋だといいなあ」
「ぼくは四人部屋でも大丈夫ですよ」
ランスさんとサフェくんが言葉を交わすのに、ディロさんはにっこりして頷く。が、すぐに目をぱちぱちさせた。
「あ、ごめんなさい、それを云いたいんじゃなくてね。その話を聴いた時に、御山から傭兵協会に通知があったらしくて、みんなに伝えてほしいって云われたことがあるの。今回の試験に通ったのは、全部で十五人。仲好くするように、って」
「十五?」
ランスさんが声を掠れさせ、まだまだご飯に夢中のサフェくんも、目をぱちくりさせた。俺も似たようなものだ。
十五人というのは、凄く多い。だって、欠員がでたら試験をする、のだ。それだけ欠員が出たってことになる。
メイリィさんが、おそらく初めて、まともに喋った。「多い」
「ほんと……ほんとに多いね、それ」
ワウラさんが応じ、ディロさんは口を尖らす。
「でしょ。それで、どうしてそんなに通ったんですかって訊いたの。なんでもね、大量に辞めていったんだって」
「どうして?」
「理由は教えてくれなかった」
ディロさんは肩をすくめ、お匙でぶどうのシャーベットをつついた。「これ凄くおいしい。ねえ、マオちゃん、これのつくりかた、料理人さんに訊いても大丈夫かなあ?」




