2050
なんでもいい。とにかく数打ちゃ当たる方式で、やれるだけのことはやる。それが可能性を高める。
それを見越して、能力値が高かったり毛色がいい女性を見繕い、愛人にしておく、という手もある。自分の為であり、競合相手への妨害にもなるから。
思考がめまぐるしい。俺は頭へ手を遣る。髪の毛を掴む。そうでもしないと、なんだか妙な心地がする。母親違いの姉妹で、顔を合わせたこともない。はあ? 正気か?
見たこともないエンバーダート卿を気色悪く思いつつ、俺は云う。
「それで……その……ジーナちゃんのお姉さんであるあなたが、俺に話というのは」
ぎこちなくなった。そんなことよりお土産にお菓子どうぞ、なんて自然に喋れる訳がない。途轍もなく重たい話なのだから。
ロイネちゃんは頷く。魔法の灯がふわふわ揺れた。
「謝罪です」
「謝罪」
おうむ返しにも、ロイネちゃんは表情をゆるめない。俺はかすかに、頭痛を感じている。目を瞑る。「謝られるようなことをされた覚えはありませんが」
「わたし、こちらに来て、あらさがししていました。ジーナにけちをつける為に。要するに、ジーナを追い落として、自分がエンバーダート家の娘になりたかったんです」
はあ、と云った。それ以外になんと云えというのだろう。ロイネちゃんの声には、憎しみとか恨みではない、でもなにかしら、マイナス方向の感情がにじんでいる。それは、ジーナちゃんに対する不快感かもしれないし、エンバーダート卿に対する反発かもしれないし、俺にはよく解らないなにかかもしれない。
「わたしの母は」
ロイネちゃんは淡々と喋る。俺はそれを聴く。逃げ出したいのにあしが動かない。子どもに、自分が隠し子だなんて話を、させていい訳がない。少なくとも、納得していない様子の子どもには。
「父の、……エンバーダート卿の、隠し妻です。ジーナの母親と違って、公的にはエンバーダート家となんの関わりもありません。わたしは父親不明の子どもです。公的には」
頭痛が酷くなってきた。俺はショックをうけているらしい。当人はもっと傷付いているだろうに、俺が動揺して、頭痛を起こして、ばかみたいだ。
ロイネちゃんはなんでもない顔をしている。でも、すーっと息を吸うのが、どことなく苦しそうだ。
「エンバーダート卿には、ほかにも十人以上、隠し妻が居るそうです。公的な妻にあたる女性は、卿と非常に仲が悪く、子どもをつくることを強硬に拒否しているので、それだけの数の隠し妻が居るのだと聴きました」




