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 お菓子の包みあげようかなとか、入山試験のこと気になるなとか、夜道をひとりで来て危なくないのかなとか、色んなことが頭から抜け落ちた。

 大口を開けてかたまっている俺に、ロイネちゃんは哀しげに微笑む。

「驚かせてごめんなさい。でも、それが事実なので。妹がわたしを知っているかは解りませんけれど」

「あ……あの、ちょっと、待ってください。ジーナちゃんの、お姉さんって……どういうことですか」

「字義通りです」

 ロイネちゃんは軽く肩をすくめる。「わたしと彼女は、父親が同じです。生まれたのはわたしがはやい。なので、わたしが姉です」

「は……」

「勿論、わたしはエンバーダート家にも、チェルノーラ家にもはいっていない。ジーナ本人と面識はありません。スニッペンは、母の姓です」

 ゆっくりと、脳に情報が染みこんでいく。

 ロイネちゃんとジーナちゃんは、父親が同じ、血のつながった姉妹。

 ロイネちゃんがお姉さんだけれど、ジーナちゃんと会ったことはない。

 ジーナちゃんはロイネちゃんの存在を知らないかもしれない。

 ロイネちゃんはエンバーダート家やチェルノーラ家に迎えいれられておらず、母の名字をつかっている。

 それって、つまり、要するに、エンバーダート卿の隠し子ってことか。


 俺は口を閉じ、ごくりと唾を嚥む。ロイネちゃんは俺の動揺を見ている。落ち着くまで待ってくれるつもりなのだと思う。なにも話さないから。

 俺はジーナちゃんとミューくんの云っていたことを思い出していた。

 ディファーズでは、結婚する場合年齢差は少ないほうが望ましいとされている。だから、ミューくんのお母さんがミューくんを妊娠したすぐ後くらいから、ファバーシウス家と縁付きたい家のひと達は、必死で子どもをつくった。ジーナちゃんもそのひとり。

 でも、ひとりの子どもをつくって、性別が同じだったら、結婚にまで持っていくことはできない。同性での恋愛がタブーという世のなかではないけれど、同性カップルは法的には結婚できない。それに準じた扱いをうけられるよう、井で誓ったり、結婚式を挙げることはできるけれど、「夫婦」ではない。

 ファバーシウスにはいることが目的なのなら、それはだめだろう。だから、是が非でも性別の違う子どもを得て、婚約させ、そのまま結婚させたいに違いない。

 その為に効率がいいのはなにかと云えば、複数の女性に協力してもらうのが一番だろう。


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