2047
そうだ。御山に勤めるんだから、ここを去る。当然だ。俺は分身できないし、瞬間移動もできない。
淋しいな、と思った。でも、スーロくん達をみならいたい。俺は、俺が望んでいたみちへすすむのだ。それを祝って、笑顔で送り出してくれるひと達に、泣き顔を見せたくはない。
喜ばしいことなんだから、笑っていよう。
日が暮れる直前、ランスさんとサフェくん、それにサンティエックさん、ワウラさん、マリリヴェさんがやってきた! ランスさんとサフェくんで、ほか三人を誘い、一緒に来てくれたのだ。なんだか嬉しい。
「それじゃあ、深い親交を約束して」
一番歳上だと判明したサンティエックさん、通称ディロさんが、乾杯の音頭をとった。ちっちゃくて服装も声も可愛いが、二十八歳だって。
みんな、ゴブレットを掲げ、おいしそうに中身を飲む。乾杯と云ったって、裾野ではジュースでやる。おいしいメロンジュースがあったので、それを提供した。あと、ワウラさんの好物だというルバの実も、収納空間にあったものを出した。
「めちゃくちゃおいしい」
ランスさんがぎゅうぎゅう焼きを頬張っている。隣でサフェくんが激しく頷いた。
「マオさん、こんなとこに勤めてたの?」
「うん。まかない食べ放題なんだよ」
「御山くびになったらここに来よう」
サフェくんが真剣な調子で云い、ランスさんが笑った。
ディロさんが、はーっ、と息を吐く。
「やっと、うかった実感がわいてきたかも。長くかかったなあ。ね、仲好くしようね、みんな。お姉さんを頼っていいから」
「試験官も注意していたものね」
ワウラさんが応じる。ぎこちない手付きでパスタを口へ運んでいたから、ディファーズ系ではない。「奉公人同士、競争せずに仲好くしろ……って、ことよね、あれ。メイリィ?」
マリリヴェさん、通称メイリィさんは、メロンジュースをちびちびやっていたが、頷いた。メイリィさんはここに来てから、名前を口にしたのと、通称がメイリィであると教えてくれた以外、声を発していない。
ワウラさんはそれを横目で見たが、頷き以上の反応を引き出すのは無理と判断したか、こちらを向く。背が高くてすらっとしているし、目付きが鋭いからクールな印象だったのだが、実際はとっつきやすいひとだった。
「マオ、宜しくね。あたしがさつだけど、云われたことはやるから、つかって頂戴。ディロとメイリィも、あたしやランス達と違って家政に明るいんだから、ちゃんと指導してね」
ディロさんが満足そうに胸を反らした。




