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 気分が悪い。ひたすらに。

「マオ?」

 天幕を出て、暫く行ったところで、俺はうずくまって丸まっていた。吐き気がする。

 ランスさんと、サフェくんが、心配そうに近付いてきた。「ちょっと、大丈夫?」

 大丈夫じゃない。合格したんだ。奉公の試験に。だから御山(おんやま)にはいれる。そこで、もとの世界へ戻る方法を、調べられる。

 なんだかよく解らない。自分の感情が掴めなかった。嬉しいし、驚いているし、戸惑っていて、こわい。それらが合わさって猛烈に気分が悪い。

 ほんでおなかすいた。

 サフェくんが俺の隣に両膝をついて、せなかを撫でてくれた。「ランス、誰か呼んできてもらえますか。先生に伝えれば、癒し手を寄越してくれると思う」

「解った。ちゃんと見ててね」

 あしおとがとおざかっていった。サフェくんはやわらかく云う。

「マオさん、大丈夫だよ。ランスが癒し手、つれてきてくれるから」

 頷くこともできない。ただ、唸るだけだ。サフェくん、ランスさんには敬語で、可愛いな、と思う。


 暫くすると、ふたり分のあしおとがして、更にもうふたり、それを追ってきた。「マオ、先生つれてきた」

「大丈夫ですか、マオさん。 チハル先生」

「魔力の枯渇ではありませんね」

 カンナさんと、チハル先生だ。まだ試験があるだろうに、来てくれたらしい。

 ひとり、走っていった。誰かが俺の肩に手を置いて、恢復(かいふく)魔法をかけてくれる。燕息だ。ちょっとだけ気分がよくなった。ランスさんとサフェくんが、心配そうに低声(こごえ)で云う。

「先生、マオは」

「大丈夫なんですか」

「心配ないですよ。合格したので、喜びすぎたんでしょう。倒れるひとはたまに居ますから」

 多分、シシース先生だ。癒しの力、持ってるんだ。

 喜びすぎて気分が悪くなった訳ではないが、ランスさんとサフェくんはそれで納得したみたいで、ああ……と声をもらす。ふたりも、喜んで、気分悪くなったのかな。

「シシース先生、つれてきました」

「ああ、久しいね、セリィ」

 のろのろと顔を上げる。カンナさんの隣で、セロベルさんが、ばつの悪そうな顔で立っていた。「シシース先生、どうも、ご無沙汰してます」

「まったくね」

 シシース先生はにっこり、セロベルさんを仰ぐが、目が笑っていない。「君は本当に、美人を侍らせるのが好みみたいだね……?」

「いえあの」

「ああ、そんな話をしている場合ではなかった。彼は気分が悪いようだから、君がつれて帰りなさい。解っているだろうけれど、明日のお昼の祈りの鐘までに、二の門までつれてくるよう」

 セロベルさんが神妙に、はい、と応じた。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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