表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2146/6895

2036


 けど、サフェくんは小さく頭を振った。

「たいしたことだよ。マオさんが教えてくれた。僕がマオさんの立場だったら、絶対に教えないようなことを。だって、他人を助けて自分が失敗するなんて、ばかみたいだもの」

 ばかみたいというか、俺はばかなのだ。なんにも考えちゃいない。でももし、それに思い至ったとしても、教えただろう。

「それは、別に、俺が凄いんじゃないよ。だって、ふたりが試験、だめだったとして、俺が確実にうかる保証はない。俺より手際よくお洗濯してるひとだって居たもの」

「だからって、わたし達を助ける理由にはならない。でしょ、サフェ」

「うん」

 サフェくんは頷く。「でもさ、こうも思った。ばかみたいだけど、気分がいいなって。僕も、おんなじような場面にでくわしたら、同じことをしたほうが後から……僕入山試験で、意地の悪いことしちゃったんだ」

 サフェくんの声が震えて消えた。涙ぐんでいる。ランスさんが小首を傾げる。

「まちの外での試験で、試験会場の場所、訊かれたから、わざと間違った場所教えた。知り合いで、嫌いだった。魔力魔法をつかえるのを鼻にかけてるようないやなやつだよ。そいつは試験会場に遅れてきて、落ちた。でも僕も落ちた。順位はそいつより下だった。もしかしたら、嘘を吐いたのが試験官にばれてたのかも。それがなかったらうかってたのかも。だからマオさんのしたことは、正しいし、ばかじゃない。ぼくみたいにずるいことをしようとするのが、ばかなんだ」


 うーん。サフェくんの話だけじゃ、判断できないけど……本当に、意地が悪くて、今まで迷惑被ってきて、だいっきらい、って思ってたんなら、嘘を教えてしまっても、仕方ない気はする。それくらいの意地悪は、誰だってしちゃいそうになるし、実際してしまうひとも居るのだろう。

 サフェくんは反省してるんだし、それでいいんじゃないかな。そのことをずっと覚えてて、後悔してるのは、自分がうかる・うからないってことじゃなく、純粋に相手に対して申し訳なく思っているから、な、気もするし。


 俺は数回頷いた。

「俺だって、意地悪する時もあるよ」

「でもさっきは優しくしてくれた。だから、ありがとう、マオさん。僕、次の試験もうける」

 あ……感触、よくなかったのかな。サフェくん頑張ってたし、可能性がない訳じゃないと思うのだが。

 サフェくんは楽しそうにしている。

「洗濯、楽しかったから、今度からは自分でやろうかな」

「あ、それわたしも思った。楽しいよね、洗濯。最近傭兵やってたんだけど、洗濯工房に勤めようかなって思うくらい、汚れが落ちるのが面白かった」

「ですよね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ