表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2144/6894

2034


「ねえ、あのひと達がなに話してるか、聴こえる?」

 俺とサフェくんの背後に、ランスさんが立った。耳打ちしてくるのへ、俺もサフェくんも低声(こごえ)で返す。「なにも」

「全然聴こえませんよ」

「ちぇ、気になるなあ。……ねえマオ、あんた凄いんだね」

 仰ぐ。「え?」

「収納空間。あんなに水をいれて、平然としてるんだもの。そういえば、洗濯の時も、収納空間から水出してたでしょ」

「うん……」

 頷く。ランスさんはふー、と息を吐いて、微笑んだ。

「なんだろ。どうしてかな、気分がいい」

「え」目をしばたたく。「ランスさん、気分悪かったの」

 ランスさんはくすっとした。

「そうじゃなくて。わたしずっと、入山できなかったのひきずってて、なにがなんでも御山(おんやま)にはいるんだって思って、この試験をうけたの」


 あー……入山試験は、もう受験資格がないのか。年齢制限が相当厳しいからな。ライティエさんだってあんなに強いのに、二十歳までにそうなれなかったから、入山はかなわなかった。

 御山(おんやま)の理念も、解らなくはない。御山(おんやま)は、いかなる差別もゆるさない場所だ。ただ単に、それが勉学や研究の妨げになる、っていう理由だとしても、それ自体悪いことではない。

 例えば、不倒について研究することを目標にしているひとが居るとする。でもそのひとが、けもみみや、自分の出身国以外に対して偏見があって差別していたら?

 研究の為に不倒を持っているひとを集めることすら、困難になるだろう。研究する以上は、サンプルは多いにこしたことはない。実験するにしても、観察するにしても、結果の信頼性が違う。

 学生の場合も、切磋琢磨しあうのに、差別がはいりこんだらそれが難しくなる。同じ相手と延々議論したって同じところに帰結するだけだろうし、同じ相手とだけ打ち合ったって、精々そのひとの癖や戦いかたが解るくらいだ。だから偏見や差別なく、二年間を有効活用してほしい、ということだと思う。

 でも、歳をとってから価値観をかえるのは、難しい。なかなかできることじゃない。環境が大きいから、仕方のない部分はある。

 でも、まだ若いうちなら矯正できる。だから、若いひとだけを入山させる。そして厳しく禁止することによって、学生間の悪感情を成る丈抑える、のだろう。

 それにしちゃあ、さっきのエリートさんは、髪の短い男に対して態度が悪かったですがね。面と向かって罵られたり、なにかされたって訳じゃないから、まだましだけど。まあ思想は個人の自由ですし、実害があった訳じゃないので、なんとも申しません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ