2031
残りは六人なので、全員並ばされた。俺は収納空間の口を開く。俺の横に、青いローブの男性が立った。髪をおしゃれにあみこんで、飾りを沢山つけている。青いローブだから、教員だと思うけれど、……凄く若い。俺の隣の受験者についた、学生と、かわらないくらい。十七・八、かな。はやくに入山して、二年経ったらそのまま御山に就職、というくちだろう。エリートな訳。
目があったのでお辞儀した。あちらは無視だ。ありゃ。やっぱり、入山できるかどうかと、人間性って、関係ない?
カンナさんが収納空間の口のサイズを確認した。もしかしたら、なにか別のことも確認しているのかもしれない。
「問題ありません」
「よし。はじめなさい」
「はい、ガロア先生」
水魔法のひと達(きっと、氾濫士か、深潭の魂持ち)が返事して、収納空間にお水を注ぎはじめた。全員同じ量を出しているみたい。器用だよなあ。
このお水って、もらっていいのかな。だとしたら、試験に落ちたとしても、ちょっと得した気分。
ぱたんと布団が落ちたみたいな音がしたので、振り返ると、サフェくんがあわあわしていた。その足許に、別の受験者が丸まっている。試験監督がうんざりした声を出す。「その者も失格。運び出して、治療を」
私兵がふたりがかりで、失格になったひとをつれていった。ハーバラムさんみたいに、収納空間のなかにものをいれていると、徐々に魔力を消費するタイプだったのだろう。無理せずに、お水を出せばよかったのに。
しかし、見てみると、ほかにも顔色の悪いひとは居る。素直に申告して、お水を捨ててしまえば、楽だろうに。
体をひねってそちらを見ている俺に、エリートさんが鼻を鳴らした。「ぼんやりしていると、魔力の枯渇を起こしますよ」
「あ、すみません」
ん?
反射的に謝ってしまったが、なんかいやな云いかただったぞ。鼻鳴らされたし。なんなんですかね。
ちょっとむっとしたものの、云い争っても益はないので、放っておいた。俺の過剰反応なだけで、本当に心から気遣ってくれたのかもしれないし。
ひとり、右手を挙げて離脱した。と、同時に倒れてしまう。
「失格」
色々と面倒なようで、試験監督はそう云って手をひらひらさせるだけだ。私兵が倒れたひとを運び出す。
もうふたり、離脱した。残るは三人だ。俺は、つったっているだけなので、正直ひま。まわりや後ろをきょろきょろ見る。俺同様落ち着きのないダーニェア先生と目が合い、にこっとされた。微笑み返す。試験官達もひまだろう。




