2030
やった!
収納空間のひろさなら、俺は大概のひとには負けない。だってLv.MAXだもん。
思わず、ぴょんとはねてしまった。ランスさんはちっと舌を打つ。「ああ、今度もだめだ。わたし、収納空間持ってない」
あ……そうか、持ってないひとも居るよな。
ちらっと見ると、ランスさんは微笑んだ。
「いいよ。次があるし。マオは、その様子だと、収納空間持ってるんでしょ」
「うん」
「じゃ、頑張んなよ。わたしさがるね。応援してるから」
「解った」
ランスさんは軽く頷いて、後ろのほうへと移動する。俺はそのせなかに云う。「ランスさん、ありがとう」
ランスさんはこちらを見ずに、ひらひらと手を振った。
サフェくんは緊張した面持ちで、頷く。収納空間持ちらしい。「大丈夫、大丈夫……」
「収納空間持ちは五人ずつ、こちらへ」
さっと、五人、前へ出た。名簿の順とか、身長順とかではなく、先着順らしい。ここで急いでも無駄なので、割り込むようなことはしない。
青いローブのひとが数人と、御山の制服の男女が這入ってきた。巾着切りかなあ、と思ったが、違った。
試験監督が審査方法を説明する。
「君達には、収納空間の口を開いて、立っていてもらう。そこに、彼らが水を注ぎ込む。それで、収納空間のひろさをはかります。いいね?」
はい、とみんなで返事する。今度は俺も遅れなかった。
ジアー先生が云った。
「もし、気分が悪くなったり、もう無理だと思ったら、右手を挙げなさい。付け加えておきますが、無理をして魔力の枯渇を起こすような奉公人は、御山には必要ありません」
ふむ、注意喚起だな。意地張って倒れたほうが点数悪いよ、という。
審査をうける五人が、収納空間の口を開いた。15cmくらいだ。試験官がそのサイズにさせている。それだけでいやそうな顔をしたひとが居るから、収納空間の口を開くのにも、魔力って必要なのかも。
這入ってきたひと達は、水魔法が得意みたい、ひとりの受験者にひとりがついて、収納空間にお水を注ぎ込んでいる。一分経たず、ふたりの受験者が右手を挙げ、離脱した。残りの三人も、それから一分保たない。
収納空間持ちの受験者は、残り、十人と少し。サフェくんが並び、俺は次の組を待つことにした。後でも別にいい。
サフェくんは頑張っていた。収納空間はかなりひろいみたいで、三分くらいもちこたえたのだ。その組のなかで、一番長かった。
サフェくんの組では、ひとり、気絶したひとが出てしまった。試験官達が渋い顔で話し合い、そのひとは即座に失格になり、運び出されていった。




