表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2122/6900

2013


 バルドさんとヨーくんも追いついた。ふたりとも息を切らしている。俺は額から目をはなし、収納空間へ手をつっこむ。

「どうぞ」

「ああ、ありがとうマオ」

「ありがとうございます」

 とりだしたタオルを渡すと、ふたりとも顔の汗を拭う。ゴブレットとお水も出した。

「うん」カンナさんが満足そうに頷いた。「いいね」

「だろ。こいつ、根性あるし、なんとかなると思うぜ」

 セロベルさんが同調する。カンナさんはにこっとした。

「そりゃあセロベルのとこで働いてるんだもの、根性ないと無理でしょ」

「あのな、下山してからも御山(おんやま)みたいにしてると思ってるんなら」

「冗談でしょ、ほんとに堅苦しい」

 カンナさんは澄まし顔で、セロベルさんは渋面、後、微笑み。同期入山って、こんなふうに仲好しになるものなんだな。

「会場はこっち」

 カンナさんが門を潜った。俺も続く。が、セロベルさんと、バルドさんヨーくんは、門のこちら側へは来ない。たちどまり、振り返る。「セロベルさん?」

「俺達はここまでだ。試験、頑張れよ」

 セロベルさんは片手をあげてそう云い、バルドさんとヨーくんが手を振ってくれた。

「マオ、君には開拓者がついているよ」

「絶対巧く行きますよ!」

「今夜はお祝いのご飯を一緒させてもらうからね」

 俺は頷いて、あしばやにカンナさんを追った。泣きそうだったから。


 カンナさんに並んだ。カンナさんが俺を見る。俺よりも15cmくらい小さいので、こちらを見上げる格好になる。三十歳前後、かな。多分。

「マオさん、好かれてますね」

「あ、……ですかね?」

「セロベルが、髪の短い男のひとに、すっごく優しいのだもの。吃驚しました」

 単純に、驚いた、という意味だけのようだ。髪が短い男に対しての、侮蔑のようなものは、感じられない。御山(おんやま)はそうなのかもな。差別は厳に禁じられている。だから、獣人でも過ごしやすい、と聴いた。

 カンナさんはくるっとまわった。ドレスの裾がふわっとひろがる。「セロベルが太鼓判押してるなら、試験免除でもいいくらいなんだけど。あの子、奉公人に対して優しかったもの、それが勧めるんだから……」

 なんだか、こわい。前々からだけど、奉公ってなにか、よっぽど大変なんだろうか。根性と忍耐力さえあれば大丈夫、みたいに、入山経験者はかならず云うんだけど……。

 カンナさんがすいっと前方を示した。天幕が張られている。運動会の放送席、を思い出した。

「あのなかです。能力証は提出しますか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ