2012
カンナさんもはっはっと笑う。「商才があまりあるからね。才能豊かなのも困りものだナー」
「自分で云ってりゃ世話ねえや。……カンナ、俺の話が信用できないのか?」
「うん?」
カンナさんがちらっとこちらを振り向いた。すぐに前へ向き直る。
「うん。体力はないってほんとだね。セロベル、負ぶってあげて」
「あいよ」
セロベルさんは簡単に云って、俺の体を軽々持ち上げる。負ぶわれた。
ぜえぜえと浅い呼吸をする。「す。すみません」
「いいよ。こいつが俺の言葉を疑うのが悪い」
「疑ったんじゃないよ。直に慥かめたかったの」
「疑ったのと同じだろ」
どうやら、俺の体力の低さについて、カンナさんが検証した、ということらしい。奉公人は御山の上と下を頻繁に行き来しないといけないらしいし、体力が低いと弾かれたりするのじゃなかろうか。不安だ。
カンナさんはしかし、声の調子をかえることはない。
「ちょっと急ごう」
「ああ」
ふたりが歩く速度が上がった。バルドさんとヨーくんがそれにあわせるが、流石にきついみたいで、息があがってきている。
セロベルさんが云った。「こいつ、体力優なんだぜ」
「あ、セロベル、ひとの能力値を勝手に開示しないの」
「へいへい」
「根に持つの、可愛くないよ」
「お前に可愛いと思われても嬉しくねえよ。お前だって俺に可愛いと思われたら気色悪いだろ」
「わ、想像したら面白いねそれ。思ってみてもいいよ」
カンナさんが真顔でこちらを見たが、我慢できなかったのかふきだして笑った。セロベルさんも笑う。
「はい到着。セロベル、おろしてあげて」
「云われなくてもやるよ。ほら、マオ、大丈夫か?」
「はい……」
呼吸が落ち着いてきたところで、おろされた。目の前には門がある。西門……だろうか。
やけに大きかった。門、だけで、扉はついていない。白っぽい、木製、かな。白い塗料を塗っているのかも。そこに、金と銀でできた飾りがつけられている。
門の横には塀があって、途中から岩肌にかわっていた。山、と思う。そういう雰囲気だ。
塀には額がとりつけられていた。これは西門、ではなく、「西の二の門」だそうだ。入山者へ向けてなのだろう、金と銀の飾りの由来も書いてある。
金はこの世界ではありふれた金属で、銀はどちらかというとめずらしい。それは御山の理念をあらわしている。
めずらしい特殊能力や職業を持った子は銀で、勿論とる。でも、金(ありふれた特殊能力や職業)であっても、御山は拒まない。すべては努力次第。そういうこと、だそうだ。




