2011
行列を右に見ながら、てくてくと歩いた。
行列からじっとりと、視線を感じる。睨まれているのだ。俺はできるだけ、そちらを見ないようにしていた。
ところどころに配置されている、行列を監視している警邏隊や、多分御山の私兵が、カンナさんに軽くお辞儀するから、カンナさんが御山の関係者だと解るのだろう。それにつれられて、行列を無視して歩いているのだから、順番を繰り上げられた、というのは明らかだ。
それに、ほかにも数人、俺に似たような状況のひとは居た。カンナさんみたいな、試験官っぽいひとが一緒なのは居ないけれど、警邏隊が恭しく西門へと案内している。皆さん俺と違って体力が高いようで、笑顔で走って行くひとも多々。脚力が羨ましい。
気詰まりだが、仕方ない。俺は体力が乏しいから、あんな芸当はできないのだ。徐々に傾斜のきつくなる道を、ひたすら歩く。今日は坂道を歩く日だな。
レフオーブル家の辺りは越えた。傾斜がかなりきつくなっている。
息があがる。あしも段々痛くなってきた。バルドさんとヨーくんは、これまでのゆるい傾斜で蓄積していたダメージがあるのだろう、ちょっとだけあしどりが重くなっている。ふたりとも武器を持っている上に、胴体だけだけど、鎧を着けているし、その分からだが重たい訳で。
そんななか、やはり武装しているセロベルさんと、小柄で華奢なカンナさんは。平然とひょいひょい歩いていて、なおかつ楽しそうに談笑していた。カンナさんなんて、室内履きみたいなやわらかそうな布のくつなのに、足裏痛くないのかな。
しかし、暫くぶりに会ったろうから、話すことも多いのだとは思うけれど……そんなに余裕ある? この坂道で?
ほんと、入山経験者って、規格外だよな。一時下山とかで、御山を上り下りしてたら、体力つくのだろうか。グロッシェさんもこれくらい体力あるのかなあ。
「そうだ、図書館改築したの。シーマ先生が図面引いて、セロベルの後輩達で手伝って」
「ああ、俺が辞める前に、そんな話になってたな。荒れ地研究の資料がなんとかかんとか」
「そうそう。場所が足りなくなってたからね。それなのに、毎年々々蔵書を増やすものだから、お金のやりくりが大変ですよって云ってるの。でも教授陣はなんにも聴いちゃいない。本が増えて大変なら、改築しましょう」
カンナさんは歌うみたいに云い、セロベルさんが笑った。
「お前がその分補填するからだろ」




