表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
気ままなリッター、ジーナの秘密
1427/6889

1352


 ジーナちゃんは寸の間黙った。

「……ミュー、わたしを気遣っているの?」

「うん? どういう意味だい、君?」

「だって。……よくないことをしたの」

 ジーナちゃんははずかしそうに声を低める。「あなたの名前が聴こえたから、ラスターラ卿が誰かと話しておいでなのを、盗み聴きしたわ。そうしたら、あなたが、傭兵協会で危うく、……」

「穢されるところだったって?」

 ミューくんが軽く云うと、ジーナちゃんはかすかに頷く。ミューくんは小さく笑った。「そんな大事じゃあなかったんだよ、ジーナ。俺はなんともなかった」

「でも……でも」

「よく考えてみろよ。君に嘘を吐いて、俺が得をする?」

 ジーナちゃんはちょっと考えて、しないわ、と云った。それからもう一度、勢いよくミューくんへ抱き付く。ヴェールで顔は見えないが、ジーナちゃんが泣いているのは解った。ミューくんがジーナちゃんを抱きとめ、燕息をかける。

「し、心配だったの」

「ああ、解ってるよ、ジーナ。俺の失敗で君にまで迷惑かけたな」

「あなたが悪いのじゃないわ。……けさ、も、ラスターラ卿が、ミューがどうとか……云ってらして、わたし、あなたの具合が、よくないのかって……この間、あなたを見に来た時、あなた、ぜんぜん、元気がなかったから」

「そりゃあ、君を心配してた所為だぜ」

 ミューくんがちょっと笑うように云うと、ジーナちゃんはひくっとしゃくりあげ、ミューくんの胸許へ顔を埋めた。


 ジーナちゃんは暫くすると泣きやんだ。お茶でも、と誘ったが、頭を振る。余程、しっかりと顔を見られたくないようだ。ミューくんは大切そうにジーナちゃんの手を撫でる。目が優しい。実際、しっかり目にして、思っていたような酷い状態ではなかったのだろう。

 サキくんが、眩しそうに目を細めて、ふたりを見ている。「ジーナ、僕のことは忘れてしまった?」

「……ええ、覚えていませんわ。もしかしたらって心当たりはございますけれど、まさか、サキじゃないわよね? わたしの知ってるサキは、こんなに逞しくないもの」

 サキくんがにっこりした。

「君は可愛いひとだ」

「ああ、その軽口は、やっぱりサキね」

 みんな、くすくすと笑った。その後、ジーナちゃんが、真剣な調子で云う。

「サキ、ありがとう。ミューを助けてくれて。あなたには、とても感謝しているの」

「友達を助けるのは当然のことだよ、ジーナ。だから、君が困っていても、僕は助ける」

「それは、光栄ね……マオ、この間は、騙すような真似をしてごめんなさい」

 俺は頭を振る。

「あなたの料理、とてもおいしかったわ。わたし、でも、どうしても……」

 ジーナちゃんはくすんと洟をすすった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ