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 アーフィネルくんは部屋へひっこみ、すぐに、いつも仕事に出る格好で出てきた。きちんと梳かした髪、仕立てのいいチュニックとずぼん、編み上げサンダル、うすぎぬのローブ。それから、判じものらしい、羊皮紙を綴っただけの簡単なノート。だから、シアーくんは、どこかのお大尽がひと晩、アーフィネルくんを()()()()るのだと思った。もしくは、宴会にでも呼ばれたのだ、と。

 南の娼妓は、仕事に関して単独行動をしない。危険だからだ。なかには、仕事だとお金を払って娼妓を家まで来させ、予定よりもずっと長い間、追加料金を払わずに留め置く悪質なお客も居る。娼妓の能力値が低いことを見越しての監禁である。だが、南以外の娼妓は、そういう場合に助けてくれる元締めが居る。左右組の女性達は能力値が高いし、かわった特殊能力を持っていることも多く、なにより左右組自体に大きな権限があるのだ。

 比べて、南の娼妓には顔役が居るが、自身も娼妓である為に能力値が低い。更に、娼妓として営業をする以外の権限はほぼない。なので、のっぴきならない情況になった場合、御山(おんやま)へ訴え出るくらいしかできない。

 娼妓はイメージも大切だから、頻繁に警邏隊のお世話になったり、御山(おんやま)へ訴えるのは営業に響く。それで、自衛の為に、南の娼妓は単独では行動しない。宴会へ呼ばれたら、同じ縄張りの子を荷物持ちの名目で複数人つれていくか、西か東の娼妓が確実にくることを確認する。

 一緒に行こうか、と、シアーくんは訊いた。でも、アーフィネルくんは頭を振って、大丈夫、と云ったそう。だからシアーくんは、別の縄張りの娼妓が一緒の仕事なんだ、と思った。もしくは、他地域の高位の人間が相手。娼妓ともめごとを起こしたりしたら恥と考えているから、逆に扱いは丁寧なのだ。

 シアーくんは、なんだよ、いい客だったら分けろよな、と冗談を云った。しかしアーフィネルくんは、多分俺に興味はないよ、とかなんとか、謎めいたことを云い、暫く戻らないかもしれないけど心配ないから、みんなにも云っておいて、と、通りへ走っていった。

 なんだか不穏なものを感じたシアーくんは、通りへ出た。豪華な馬車があって、アーフィネルくんはそれにのりこみ、居なくなった。


「そんで……夕方になって、アーフィネルの部屋に、ひとがいっぱい来て、荷物を運び出しはじめたんだ。こわかったから顔役のところへ行って、そうしたらアーフィネルが、見たこともないような綺麗な服を着て顔役に貝貨を、こんな、上等な木の箱にはいったやつを渡して、今までお世話になりましたって」

 シアーくんは話しながら泣いてしまっていて、アランさんからもらった手巾で洟をかむ。「アーフィネル、俺が居るのに気付いて、テレイタに伝えてくれないかなって。兄ちゃんは大丈夫だから心配するなって」

 リータちゃんが手巾に顔を埋めた。


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