表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1075/6898

1026

 

 話は単純だった。要するに、ストーカ。ヴェーティヨンさんとかつて婚約していたカンザル嬢がやったこと。

 婚約解消の理由は、ヴェーティヨンさんの体調不良だった。まあ、毒の所為だった訳だけれど、カンザル嬢は泣く泣く結婚を諦めていた。でも、ヴェーティヨンさんが恢復したら結婚できる、ヴェーティヨンさんもその気持ちでいる、と信じていた。

 で、マイファレットの閉門、ヴェーティヨンさんの復活だ。カンザル嬢は今こそ結婚をと、ヴェーティヨンさんへつかいを出した。

 でも、ヴェーティヨンさんにしてみれば、マイファレット家は不名誉な理由で閉門し、自分はディファーズへも戻れない。カンザル嬢と結婚しても、ディファーズへ戻ることはできないのだ。それに、母や妹から離れることはできない。

 しかも、幾ら犯罪者と云え、実の親や兄弟が荒れ地に送られるのを待つ身だ。結婚なんて到底できる心情ではない。

 不名誉な理由で閉門したマイファレット家と縁付いてもなにもいいことはない、と云って追い返したが、すぐに別のつかいが来た。そのつかいが持ってきたカンザル嬢の手紙に、ふたりの仲を裂くようなあなたの家族なんて捨ててしまえばいい、もし気が咎めるのなら自分が手をまわして排除する、とかなんとか書いてあった、のだそう。

 ヴェーティヨンさんはそれで怒った。どうしようもなく話が嚙み合わないカンザル嬢と結婚することは不可能だと判断して、家族があろうがなかろうが結婚はできないとつかいを追い返し、母と妹にはカンザル家とは関わらないようにと云った。でも、排除云々は、閉門に家族の荒れ地おくりでただでさえ心労のあるふたりをこわがらせたくない一心で、伝えなかった。


「云ってくれたら、お兄さまから離れませんでした。お母さまやアエッラを排除すると公言するひとが、お兄さまに危害を加えない保証はございません」

「ああ、それはわたしの誤りだ。体が満足に動かないことを忘れていた。かっかきていたからな」

「マオさん達が来てくれなかったらと思うと、もう……」

 マイファレット嬢はふるふる頭を振る。

「あの、じゃあ、カンザル嬢のやったことだったんですか」

「はい。彼女のめしつかいがやったことで、カンザル卿ははじめ知らず……ですが、妹のやったことを知るや、わたしを脅して。バルドネスや、母や妹の命が惜しくば、逃げようとするなと。閉門した家の人間がひとり失踪したところで誰も気にかけはしませんから、わたしを閉じこめておくつもりだったようです」

 事後従犯だったのだな。すぐにふたりを解放すれば、大事にはならなかったと思うのだが。

 兄妹は目を交わし、小さく苦笑する。「バルドネスちゃんにはこわい思いをさせてしまって。……また迷惑をかけないように、引っ越しますわ」

「え」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ