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ヴェーティヨンさんが何故さらわれたのか、気にはなったけれど、考えたところで解りはしない。俺はその後普通に業務をこなし、一日が終わった。
翌日、ダストくんとセロベルさんのちゃんちゃんばらばらから逃げるように市場へ向かい、リータちゃんと買いものをした。お米の値が少しさがっている。穀物屋さんにきいてみたら、需要があると供給も増える、みたいなことらしい。詰まり俺がばんばん買っているから。売れるんなら持ってくるか、ほかでも売ってるからちょっと値を下げるか、ということ。
四月の雨亭へ戻ると、レアディさん達が来ていたので、パンや麺を買った。今朝は豚のフリット、チーズポテト、人参ポタージュに、レタスのサラダ、レモンカスタードを塗ったクッキー。チーズポテトは簡単。芽をとったじゃがいもをふかして、皮をむき(むいた皮はブロードにするので収納空間へぽい)、牛乳・お塩を加えてマッシャーで荒く潰し、お好みのチーズを溶かしてかけるだけ。お鍋に、牛乳と一緒に刻んだチーズをいれて、弱火で焦げないように溶かせばいい。牛乳じゃなく白ワインもいいんだけど、お酒は御法度だからな。
刻んだパセリや、ホールのこしょうをふりかけたり、刻んだローストアーモンドも合う。なんにせよチーズポテトは旨い。
揚げものはちょっとはやいと判断し、リータちゃんにはチーズポテトを任せた。簡単なお料理だけれど、火をつかうお料理を最初から最後まで自分でやるので、リータちゃんは相当張り切っている。
まかないを食べたり、足りなくなったクッキーをツァリアスさんとふたりで量産したりしていると、お客さんが来た。マイファレット兄妹だ。
マイファレット兄妹は、普通にお客さんとしてきて、お代を払って朝食をとった。ほかのお客さんが粗方帰って、手が空いたので、マイファレット兄妹のテーブルへ行く。ふたりとも立ち上がって、会釈した。
「昨日は……」
「あ、もういいです、大丈夫でしたか?べーていよんさん」
ふたりが立ったままなので、俺は椅子をひいて座る。と、ふたりとも座った。
兄妹は目を交わし、同時にこちらを向いた。「バルドネスちゃんは、なんともありませんでしたわ。ご飯がおいしくないと、お菓子を要求して、沢山食べて眠っていたそうです」
「彼を連れて逃げられないかと、動いてはみたのですが、どうにも」
「お兄さま、きちんと話してくれれば、アエッラがまもって差し上げましたのに……」
マイファレット嬢が兄を軽く睨む。ヴェーティヨンさんは首をすくめた。




