表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1072/6900

1024

 

「災難だったな、マオ」

 警邏隊の馬車にのせてもらって、俺とダストくんは四月の雨亭へと戻る途中だ。咽が渇いたし、おなかもすいていたので、収納空間からとりだしたマグに注いだマサーラーチャイをすすっている。ダストくんと、同乗の警邏隊にもあげた。

「災難なのはバルくんと、べーていよんさんだよ」うー。巧く云えないな。「さらわれて」

「まあな。手、大丈夫か」

「うん。治療してもらったから」

 ぐっぱっとやる。馬車にのる前に、警邏隊の癒し手に治療してもらったのだ。たいした怪我でもなかったし、もう傷痕もない。

「なんだったのかな-」

「さらわれた理由?」

「うん。聴けなかったから」

 ヴェーティヨンさんは毒の所為か、体の動きがとてもぎこちなかった。喋るのも辿々しかったし。

「マイファレットの次男といいかわしてたって云う、カンザルの長女がやったんじゃねえの」

「じゃあ、そんな、いきなりさらわなく……あ」

「なんだよ」

「マイファレット嬢が、家が閉門になってすぐ、カンザルからつかいが来て、お兄さんと話してたって。でも、帰った後お兄さんの機嫌が凄く悪くて、カンザルの人間が来たら逃げろって云ってたって」

「じゃあ、決裂した訳だな。話し合ってだめならさらっちまおうってことだ」

 そんな極端な。


 馬車が停まり、降りる。門からセロベルさん夫婦が飛び出してきた。ハーバラムさんもだ「マオ」

「ダスト!」

「ダスト坊」

 ダストくんがハーバラムさんとセロベルさんに飛び付かれて辟易している。

 リエナさんが俺の手をとった。

「マオ、あなたってどうしてこう、無茶をするの!」

「あはは。すみません、ご飯もつくらないで」

「大丈夫よ。リータもツァリアスも居るから。そんなことより、なにか食べて。あなたのことだからおなかがすいてるんでしょ」

 見透かされている。俺は苦笑いで、リエナさんに引っ張られるまま歩いた。ダストくんもセロベルさんとハーバラムさんに引き摺られてついてくる。


 リエナさんの用意してくれた朝ご飯(アスパラガス・ベーコン・きのこのこしょうたっぷりバター炒め、パセリをのせたかぼちゃのポタージュ、焼きパインアップル、レアディさんとこのパン)を食べながら、掻い摘まんで説明した。食べ終わると、バターやお豆腐、麺類、干ししいたけや切り干し大根を収納する。今朝、俺が居ない間に来たレアディさん達から、リエナさんが買っておいてくれたのだ。干ししいたけはたまにしか売ってくれないから、とってもありがたい。買い損ねたら死んでも死にきれない。

「カンザル卿……って、慥か大司教よね?セロベル」

「ああ。資産はたいしたことねえが、今のカンザル卿の母親は、前々神聖公の縁続きだぜ」

「そんな家が、まさかひとをさらうなんて」

 そんな名家なら、損得じゃなく、恋愛感情のもつれ、のほうが納得いくな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ