大家族と男の子 ⑤
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「ねえ、ねえねえ! ねえ、聞いてる?」
悠人はハッとする。「え?」と困惑の声が出た。
「ぼーっとしてると、ご飯無くなっちゃうよ?」
「そうそう、食事は戦争!」
「特に碧太には注意して、人のお皿からとって食べるんだから。……あっまた! ちょっと返しなさいよ!」
悠人と一番年齢が近そうに見える男の子、次男の碧太くんがひょいっと女の子、三女の琴さんのお皿から唐揚げをとって口に放り込んだ。
「食べないやつが悪いんだよ。……って、あぁ! 俺の唐揚げ!」
「食べないやつが悪いのよ〜ん! だいたいあんたね、年下のくせに生意気なのよ! あ、でもでも〜悠人くんは同い年なのに礼儀正しいよ?」
「そーだそーだ! 悠人くんを見習え!」
琴さんが片眉を上げて揶揄うように碧太くんを見ると、長女の光莉さんもそれに乗って茶化す。兄弟が多いとここまで賑やかなのだろうか。
一人っ子の悠人にとっては、知らない世界に迷い込んだような感覚だ。でも、不思議と嫌ではなかった。
「ちょっと光莉、あんた一応一番年長でしょ? 馬鹿なことしてないで、こっちきて手伝って!」
由紀子さんーーお母さんがキッチンから顔だけを出して、光莉さんを呼ぶ。光莉さんは「え〜、わたしの分の唐揚げ無くなっちゃうじゃんか」と、文句を言いつつも、立ち上がってキッチンへ向かう。
「ただいま〜」
すると、いきなり玄関の方から男の人の声が聞こえてきた。
「あ、帰ってきた。おかえり〜!」
琴さんが立ち上がって玄関の方へ歩いていく。そして、玄関の方から「ねえ聞いて! 碧太が……」という話し声が聞こえてくると、碧太が「やべっ! ちくられる!」と言って、また玄関に向かって走っていく。
「……誰?」
悠人が声を漏らすと、由紀子さんも「あら、帰ってきたのかしら。光莉、油みといて」と言って玄関にエプロン姿で走っていく。
「お父さんが帰ってきたんだよ。悠人くんも挨拶に行っておいで」
「お父さん……」
悠人は立ち上がって、賑やかな声のする方へ歩く。
玄関に立って、呆れたような声を出す男の人ーーお父さんの姿を見た。悠人がジッと見ていると、お父さんと目が合う。
「おっ、君が悠人くん? 袴田家へようこそ! 僕は袴田貴志、今日から二日間、君のお父さんだ。よろしくね!」
「は、はじめまして」
やっと本編に戻ってきた感じですね。
袴田家は七人家族です。覚えるのはちょっと大変かな……。
父 貴志
母 由紀子
長女 光莉
次女 衣織
長男 陸斗
三女 琴
次男 碧太 こんな感じです。




