司祭になるために
そして、また次の日
「試練ですか?」
「はい、司祭になるには祝福を受けて貰わねばならないのですが祝福を受ける場所まで一人で行ってもらい帰ってきてもらうことが条件なのですよ」
話を聞くと何時でも行ってもいいみたいで好きな時に向かって帰ってきて貰って構わないみたい
ただ、帰ってきたら必ず宮殿に顔を出し向こうにいる教会関係者から割符を渡されるので返して欲しいとお願いされた
「祝福はどのように行えばいいんですか?」
「申し訳ありません。私は助祭の身分でして祝福の義を受けたことがないのです。向こうの方に聞けばわかると思いますので」
話を簡潔にして男の人は去っていった。本当に私に伝えることを伝えに来ただけで細かいことは知らないようだった。アイシャ様もどうするか悩んでいてどうするべきか悩んでいた
「徒歩で三日もあれば着くと言ってましたね?」
「はい、ここから見える山の向こうだと」
「アイシャ様………あの山は確か………」
「はい、神々の住まう山と言われています。私たち王族でさえ立ち入りを禁止され入山するものを厳しく監視してると聞いてます。クロエさん一人に行かせることになるのは少し不安ですが………向こうの思惑に今回は乗っておきましょう」
「つまり、行ってこいってことですよね?」
「そうなりますね」
アイシャ様が満面の笑みで私を送り出してくれるのはいいんだけど正直入りたくないし行きたくない。最近は一人で行動してないから不安で仕方がないしやっぱり魔物と戦うのは怖いからだ
人だと気にせず戦えるんだけど魔物となるとちょっとね。見た目も怖いし強そうだし大きいし………たまにグロテスクなのもいるし。まぁ、魔物が苦手な理由を上げたらきりがないけど無理なものは無理だ。私は強いとか化物とか言ってくる人いるけど私だって苦手なものぐらいあるし強いという自覚はない。あるなら、もっと成功してると思うもんね
私は準備を簡単に済まして神々の住まう山と言ってた山に向かっていく。向かっていく途中に大きな砦がありそこから数名の兵士が出てきて私のもとへとやってきた。だけど、簡単に用件を聞かれて簡単に通されてしまった。一言目がクロエさんですね? だもん。そりゃ通されるよね
「やっとここまで着いた」
山の麓に辿り着くだけで一日かかってしまった。地図を渡されているので問題はないと思うけど目的地に辿り着けるかどうかが不安だ。なんとかなるさ精神で行くしかない
「う~ん、久々のテント生活は辛い」
体のあちこちが痛いけど文句は言えない。簡単にヒールを施して痛みを消していく。アイシャ様と行動してからは基本的に宿で寝てたからなぁ
山のなかに入っていくと道らしきものがあってそれを辿っていくように指示をされたので道らしき道を歩いていく。そして、何らかの気配を感じて慌てるように臨戦態勢を整えた
「うぅ、ホーンラビットとか弱い魔物にしてよぉ」
山の上から現れたのはレッドベアーで結構強めの魔物。闇の魔物で言うなら中型よりも少し強めって感じかな? 単体で行動する魔物だから群れじゃなかったのが幸運だったよ
「ごめ………へっ?」
そんなレッドベアーが私を襲ってくると思い魔法を唱えようと思ったら通りすぎていった。まるで何かから慌てるように逃げるように私を無視して逃げたのだ。そんなレッドベアーを追いかけていたのは巨大な白蛇だったのだ
「ホワイトスネークの亜種?」
レッドベアーは大きくても三メートルぐらいで先程のは二メートル半ばぐらいだから平均的な大きさだった
だけど目の前の蛇はレッドベアーなんか簡単に丸飲み出来るぐらい巨大。頭だけでもレッドベアーの二倍の大きさはあるって
「こ、これはヤバい」
【エアライド】
神々の住まう山とか言ってるけど危険な魔物の宝庫の間違いじゃないの? こんな化物いるって聞いてないんだけど
「れ、レッドベアーが喰われた」
私とレッドベアーはどっちが先に逃げきれるか勝負するように森を走り抜けていたのだけどレッドベアーが一瞬だけ立ち止まった瞬間を狙われて喰われてしまった
本当に一飲みで終わってしまい足りないって感じで私を見て追いかけてきた。一日一匹にしとかないとご飯がなくなりますよぉぉぉ!!
「こうなったら!!」
【アイシクル】
蛇は寒さに弱く下手すれば死んでしまうこともあるって聞いた。なら、徹底的に凍らせれば倒せるんじゃなかろうか………って、少しでも思った私が馬鹿でしたぁぁぁ!!
「待て待て待て待て! 待っててば! 少しぐらい考えを纏めさせてよ!!」
私の考えは間違ってないはず。その証拠に僅かだけど私と蛇の距離が広がっている。ううん、少しずつ距離を離すことに成功してる。これなら倒さなくても逃げきれ………ると思った私が愚かだったぁぁぁ!!
「もぅ! 卑怯だ!」
私は木の間を縫うように走っていると言うのに、この白蛇は気を薙ぎ倒して直進して進んでくる。このままじゃ折角開いた差も意味が失くなって喰われちゃうよ
「ヤダヤダ! 蛇に丸飲みされて死ぬとか嫌だ!!」
こうなったら戦うしかないんだけど………一瞬だけ姿を見るとどうも勝てる気がしない。でかすぎて魔法が通じるのかどうかもわかんない。私は氷魔法をあまり会得してないから使える種類は限られてる。基礎のアイシクルでどうにかするしかない
【陰口】
逃げながら道中の木に陰口を張り付けていく。今回は誰にもセットしてないからフルで陰口を使うことが出来る。私の本気を見せてやるわ
【独り言】
陰口は全部セットし終わった。独り言も自分にセットした。後は………
「ひ、ひぃ! もう少し引き付けないとぉ!!」
怖い怖い怖い怖い
だけど粗捜しの射程は短いからもっと引き寄せてからでないと
「来た!」
【粗捜し】
白蛇の攻撃を受けたら私は即死するから悪口は使えない。これだけで何とかするしかない
【アイシクル】【アイシクル】
全陰口からアイシクルの魔法を発動させ私は二重で脳があるだろう頭を念入りに凍らせる。これで死んでなかったらちょっと死亡確定になっちゃうかな?
「………う、嘘でしょ?」
カチコチに凍らせたのに少しずつ溶けていって一気に表面の氷が崩壊した。蛇って氷に弱いって嘘吐いた奴、絶対にオランにブッ飛ばさせるからぁぁぁ
「ど、どうし………」
【悪口】
考える前に蛇が一気に突撃して体当たりしてきた。咄嗟に守るよりも悪口を使ったのは騎士団の服の防御力を信用しているのと逃げるために必要だと判断したからだ
「ゲホッ、ヤバッ、内蔵イッたかも?」
呼吸か辛いから肋骨が肺に刺さってるかもしれない。でも、なんとか耐えなきゃこのままじゃ死んじゃう。司祭になるってこんなに大変なんだ。誰が化物とか黄金世代を引っ張ってたよ? 司祭になる人はこんな凶悪な魔物がいる山を平然と歩けるんだよ? 私なんてやっぱりたいしたことないじゃんか
【グレーターヒール】
「吹き飛ばされたのは運が良かったかな?」
回復する時間ぐらいはあるけど数秒もせずに白蛇は私のところに到達する。でも、凍らせれば逃げれる時間を結構稼げるとわかったし、どうせどの魔法もたいしたダメージにならないだろうから使うだけ無駄だね
いや、カタストロフィー撃てば倒せるだろうけど………あれ使用禁止くらってるしね
でも、ここで信じられないことが起きた。私は何が起きたかさっぱりわからなかったけど何かが起きたんだと思う。そして、私はようやく悪口の真の力を知ることになる切っ掛けだったんだ
【アイシクル】【アイシクル】
「えっ?」
さっきと変わらないように見えるから急いで逃げようとしたのだけど後ろから何かが崩れる音がして振り返ったら蛇が崩れてバラバラになっていった。そう、凍ったんだけどさっき以上に凍り付き白蛇が一瞬で絶命しちゃった
「何が起きたの?」
これが悪口の真の力だと知るのはもう少し後だった
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