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策士は誰?

次の日


私たちはじっじに………違うか、ヒードルワーク大司教様に呼び出されまたもや宮殿に赴くことになった。アイシャ様はわかっていたようで《スムーズに話が進みすぎましたからね》だそうだ


どんな人なんだろうとビクビクしながら向かい何を言われるんだろうと思ってヒードルワーク大司教様がいる応接室に通されると真っ先に土下座され懇願されるのだった


「あ、頭を上げてください」


アイシャ様が慌てるように頭を上げるようにお願いするも本人は上げるつもりがなし。話を聞くと教皇様………じっじが失礼なことをした詫びと昨日の話を改めて話したいそうだった


「わかっております! 今さら撤回するなど無礼千万なのは重々承知なのです! ですが、こちらとしても昨日の話のままでは大変なことになってしまうのです!」


「いえ、それはこちらもわかっていたことですから。そ、その………言いにくいのですがクロエさんにあそこまで甘いとは思わなかったので、つい調子に乗ってしまいました。改めて話をさせてください」


どうやらアイシャ様は話を変えられることはわかっていた上で話を進めてたみたい。確かにこっちに都合がよすぎる条件ばかりで教会としては大変な事態だったと思う。あのまま行ってたら教会の威信とか全く失くなりそうだったしね


「ありがとうございました」


「いえ、こちらの思いも組んでくださり助かりました」


「組まざるを得ないのですがね」


ヒードルワークさんは凄い遠い目をして悲しそうに遠くを見つめてる。全てを反対にしたら教皇様がお怒りになるから反故も出来ない。だから、ある程度は飲んで無理なところは無理と押し通していた。偉い人って本当に大変だな。だから………頭皮が………その………真ん丸とお見え………コホン! 寂しくなるんだろうな


「それとです。こちらとしてのお願いと言いますか、最後に出す条件があります」


「………何でしょうか?」


「クロエ様に司祭の位に付いて貰いたいのです。こちらの身内がアイシャ様のお側仕えとして活動していると言う名目が欲しいのですよ」


「それは………クロエ、貴女が決めて下さい」


「えっ? わ、私ですか?」


まさか私が教会の人間になるとは思わなかったと言うかなりたくない。私がどうしようか悩んでいるとヒードルワークさんは私の思っているだろう懸念を答えてくれた


「名目上の役職であり貴女を縛りたいとはこちらも考えていません。司祭ともなれば在籍していると名を残すことになりますが数千人もの在籍している司祭を調べる人はいないでしょう。いたとしても何をしてるか聞かれた場合は先程のアイシャ様とかわした契約にあるアイシャ様のお付きの司祭と説明するだけですから」


「そ、そうなんですね? それだったら………」


「待ってください!!」


私が条件を飲もうとしたらまさかのアイシャ様のストップがかかってしまった。そんなアイシャ様は険しい顔をしてヒードルワークさんを睨みヒードルワークさんは数秒黙ったあと小さな溜め息を吐いた


「クロエをどうなさるおつもりで?」


「えぇ、ですから名前だけ………」「違いますよね?」


「………何の話でしょうか?」


睨むアイシャ様に笑顔で躱すヒードルワークさん。私には何が起きてるかさっぱりわからない。急に何があって何でこんな険悪ムードになってるの?


「納得していただけないと言うのならこの話は破談………それで宜しいですか?」


「でしたら|教会はクロエを利用しない《・・・・・・・・・・・・》。その旨を契約書に書き込んでも?」


「それは困りますね。有事の際(・・・・)は名を連ねる以上来て貰わなければならないですね。名貸しだけとは厳しいものがあるのをご了承いただけたらなと」


「こちらの判断で宜しいですか?」


「いえ、クロエ殿の判断に任せます。司祭の名を手にしてるのはクロエ殿でしょう? 我が教会の行動に一国が口を出すのは如何なものかと?」


「そうですね、ではそのように」


やっとアイシャ様が笑顔になってくれてヒードルワークさんも笑ってる。怖い空気が………ううん、何か空気が変に張り詰めてて呼吸がしにくい。何なのこの重圧感は?


そこからアイシャ様は契約書の内容を詰めていきヒードルワークさんも納得いかなければノーと答える。それを繰り返し契約書が作成された時には夕方になっておりお昼さえ食べることがなかった


「今日の予定、全部狂ったね」


「構わないでしょ? どうせ教皇様に会うためのお膳立てだったんだろうし」


「それもそっか」


ルミナスと軽い会話をしながら私たち四人は場所で移動しながら城へと戻っていく。その間、アイシャ様はずっと窓の外を見て真剣な顔をしていて急に話しかけてきた


「皆さん………特にクロエさんにお話ししときます。私たちは教皇様に嵌められました」


「えっ?」


「あんた………やっぱり気付いてなかったのね? 能天気過ぎでしょ」



「正直………私は自分が交渉事において誰にも負けるつもりはありませんでした。ですが、今回は見事にやられました。年の功には勝てない、そうハッキリと見せ付けられましたね」


「ど、どう言うことなんです?」


「最初から最後まで狙いはクロエさんでした。クロエさんを教会に取り込む。それを狙っていたのです」


アイシャ様は簡単に話してくれた。私を教会に取り込んで何をさせたいかは不明だが私を教会の人間として利用したい思惑がある。おそらく幾つかの力の内情が知られてる可能性が高い。それがアイシャ様の導き出した答えだった


「冷静に思い返せばおかしな点が多数存在していました。教会は我が国の称号の義にきちんと在籍しスカウトして帰っています。その時にクロエさんには声をかけられていません。本当に教皇様がクロエを大切に思っていたのなら教皇様、自ら来ていたはずです。他にも上げればキリがありませんが………完全にしてやられましたね」


「何をしてやられたの?」


「つまり、こっちに圧倒的有利な条件を出し申し訳なくさせたところで譲歩させて改めて話し合いの場を設けていく。そこでも向こうはこっちに一度出させた条件を反故には出来ないでしょ? だから好条件で飲みますからクロエを差し出してねって言ってきたのよ」


「あぁ、そう言うこと!」


「流石の私もあれだけの好条件を前にクロエさん一人のことを考えて全てを反故にするのは無理でした。ですが、逆に言えば教会はそれほどまでにクロエさんに固執している証拠。これを利用しない手はありません」


教会側はアイシャ様の条件を飲む形で交渉を進めている。当然、無理なところは無理とハッキリ言われてるしアイシャ様にとってかなりの都合のいい話になったのは交渉事をやらない私でもわかるぐらいだ

だからこそ、好条件を前に私を差し出さないと反故にするぞと言われてしまえば私を差し出す方向で話を進めるしかなかった

そんなアイシャ様は私を利用して何かをしようとしてるみたいだけど………


「ふふっ」


「なに笑ってんのよ? 利用されてるのよ?」


「違う違う、じっじは昔から誰も助けない主義だったの。手を差し伸べるのは容易なことだ、だが、継続的な救済はじっじには出来ない。だから、誰もが助けられる環境と状況を常に維持していく体制を作ることが夢だって語ってた。そんな夢のためなら何でも利用するし汚いことでも手を染めるって悲しそうな笑顔で話してた。そんな私がじっじの夢に必要になったんだなって思うと少しだけ嬉しくてさ。一度も手助けして欲しいなんて言われたことなかったから………じっじを手伝って上げたいって思ってたから」


「………あんたって変わってるわよね?」


「今さらでしょ?」


窓の外から宮殿の方角を見ると何処からでも見えるようになってる。きっと、救いはここだと遠い言い回しで伝えてるんだと思う。助けを求める人たちの大きな目印なんだろうな

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