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わだかまりは溶けて

「………なに? 何であなたから私に近づいたのかしら?」


時刻は夜の十時過ぎ。訓練場に行くと一人で的に向かってナイフを投げているルミナスがいた。あらゆる障害物を設置し様々な方向からナイフを投げ的に当ててる。称号のレベルを上げる訓練にもなるし技術も高められる。夜だから視界も悪い最悪の状況のなかでも変化しないように訓練していた


「………何で私をイジメたの? 楽しかった?」


私は単刀直入に聞くことにした。ウジウジ考えていても仕方がないと思ったしいい加減踏ん切りを付けたい。なら、ぶつかって気持ちをぶつける方がいいと考えたからだ


「えぇ、胸がスッキリしたし気持ちよかったわ」


「そうよね? 無抵抗の女の子をイジメるのはさぞかし気分がよかったでしょ? ちょっと成績を抜かされたからって嫉妬してイジメるようなそんな最低の女だもんね」


「そ、そうよ。私は最低な女なの………でも、ずっと謝りたかった。本当にごめんなさい。許してもらおうとは思わない。ここから出ていけと言うなら出ていく。それだけのことはしたと思ってるから」


「絶対に許さない! 逃げることも許さない! 一生、懺悔し続けて生きればいいんだ! 何度も責めてやるし後悔すればいい! 私がどれだけ辛かったか知らないでしょ? 何度も死のうと思った! 私がルミナスに何をしたって言うのよ!」


「………」


「私は自分の夢のために頑張っただけ! みんなは馬鹿にしてたけど私はそのために頑張ってきた! 孤独になってもイジメられても諦めなかった! 私は世界を見たかっただけ! 本当か嘘かなんてどうでもいいの! 世界を旅して自分の目で世界中の綺麗な景色を見たかっただけ! それの何が悪いの? 答えてみなさいよ!」


「………くっ、あんたは自由でいいわよね? こっちは人生がかかってんのよ! 貴族に生まれたって言うだけで規則や権威、威厳や意地………馬鹿みたいな糞みたいな環境のなかて生きていかないといけない! 弱音を吐くことも夢を見ることも憧れを抱くことも許されない! そんな環境のなかで生きていくみんなが通ってる学校よ! 自由なあんたがどれだけ羨ましくて眩しくて………腹が立つかなんてあんたにはわかんないでしょ!」


「わかってたまるか! そんなの捨てて逃げればいいでしょ! そんなんでイジメられてたまるか!」


「子供がどうやって国から追われて逃げれるって言うのよ! そんな簡単なものならとっくに逃げ出して幸せな人生掴んでるわよ!」


そこからお互いがお互いを罵倒し続けた。溜まっていた鬱憤を晴らすかのように今まで吐き出したかった言葉を全て吐き出した時、私もルミナスも涙を流してた


「何でルミナスが泣くのよ! 私が泣くのが普通でしょ!」


「私だって辛かったんだから泣くのは当たり前でしょ! クロエだけが辛かったなんて思わないでよね!」


これだけ吐き出してもお互いの主張は止まらなくて何が言いたいのか、自分でも何を言ってるのかわからない頭のなかに浮かんだ言葉をそのまま吐き捨ててた。会話になんかなってなくてお互いが主張したいことを言いたいだけの空間に変わってしまっていたんだから


「ルミナスなんて………」「クロエなんて………」


「「大嫌いなんだから!!」」


最後にはなった言葉はお互いが同じ感情だったと思う。本当は尊敬してて何処か嫌いになれなくて、でも、大嫌いで………好きだから………私にとってルミナスは憧れの人だったから………だから私をイジメ………ううん、そんなことをしてるルミナスが信じられなくて、だからこそ余計にイラついてて………やっとわかったんだ、自分の気持ちが見えてきた


あの時、特異型との戦いで助けてくれたのがルミナスだった時、本当に心から安心して嬉しかった。私の知ってるルミナスは気高いけど優しくて気配りが出来て全てに置いて高成績で女子なら一度は憧れる女性だったから


私も他の女子と変わらずずっと憧れてて、そんなルミナスを私は目標にしていて、成績が上がる度にルミナスは凄いと褒めてくれてた。それが態度が急変してイジメに変わっても成績が上がれば褒めてくれるんじゃないかと何処か期待していた。特異型と共に戦った時も少しだけ、ううん、かなり仲良く出来るんじゃないかとかなり期待してた。だけど大怪我して入院していても見舞いには来てくれなかったことに私は苛立っていた


本当はわかってた。私はルミナスを嫌いになれなくて、何時までも憧れを抱いていた人で、初めて話しかけてくれて少しの間のくだらない世間話をしたほんの少しの時間が孤独だった私の支えになっていたことに


忘れたくても忘れられなかった


あの時のルミナスが《またね》って言ってくれたあの言葉が………私の心をしっかり掴んで離してくれなかった


ずっと………ずっと………


「ずっとルミナスとまたおしゃべりしたかったよぉ」


「ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい」


私とルミナスはその場に崩れるようにへたり込んで泣きじゃくった。今まで貯めた想いが溢れて止むまでずっと………

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