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聞きたくもない事情

「ふぅ、今日も疲れた」


最近は本当に代わり映えしない日々を送ってると思う。体力も少しずつ取り戻してはいるものの大きな変化はしないし環境も変化してない。シュゲルツさんとゴートランガさんが数名の騎士を連れて近辺調査に出てると聞いたからその調査が終わるまで私たちは待機なんだと思う


「どうしたらいいんだろ」


最近はずっと自分がどうしたらいいのかわからず悩みに悩んでいる

本当は許して仲良くするのが一番いいんだろうけど、それが出来るほど立派な精神は持ててないし持てる気もしない。どうしてもルミナスの顔を見る度にあの時の感情が甦ってしまって悲しみと怒りに飲み込まれそうになる。本当に自殺手前まで追い込まれていてから簡単に割り切れることは決してない。でも、頭の何処かでは過去を引きずって前を向けてない自分も嫌で苛立ってるのもわかる。そんな前向きな自分と後ろ向きな自分に板挟みにされていて頭のなかがぐちゃぐちゃな日々を送っていた


あれからルミナスは私の前に一度も顔を出していない。偶然すれ違うことはあるけど話しかけることは当然ないし話しかけてくることもない。なのに向こうは被害者面してるから余計にムカついてくる。私が辛かったんだって言いたいぐらいだ


「クロエちゃん、今日もお疲れ! 風呂行ってくるか?」


「今日は俺たちが片付けておくからゆっくりしておいで」


「いいんですか?」


「「いいよ」」


二人は首を縦に振って私を先に上がらせてくれた。何時もなら私が一人で片付けとかしてるんだけど時たまやってくれるから本当に助かる。優しい先輩に恵まれて本当に幸せなんだけど………あいつがいなきゃもっと幸せなのにな


ルミナスが騎士団のみんなからどう思われてるか………私はそんな質問を一度もしたことがない。正直、気になってるし聞いてみたいとは思うけど気にしてるみたいで嫌だから聞いてない。ぶっちゃけみんなから嫌われてて除け者にされて孤独になって退団すればいいのにって思ってしまう私は最低なのだろうか。と、最近は思うようになってきた。少し前ならそんな自分が最低だと思ってたけど最低だと思えなくなってきてる。むしろ、当然の権利だと思えてしまってる自分がいた


共同浴場は広くて男子よりも女子の方が風呂は小さいながらも十分な広さがある。シュゲルツさんが案内してくれた時に風呂が一番の自慢だと言っていたぐらい凄く立派だ。だって、お風呂が三種類もあってサウナもあるんだもんね。これは風呂好きのバーニア団長のこだわりで私財を投じて作らせたって言うんだから感謝しかないよ


「あぁ、気持ちいい」


団長がお風呂好きで心からよかったと思えるのは湯船に浸かった瞬間だよね。寮にいた時はみんなが出た後に入っていたからお湯は覚めてたし酷いときなんて水の時もあった………いや、まだお湯が張ってるだけましで抜かれてる時もあったっけ。そう考えると今なんて本当に幸せでしかないや


「………あ、あの。何か?」


「うぅん? 私は近寄っただけで話しかけてないわぁ」


私が湯船に浸かってるとそぉと近寄ってきたのはアルチナさんだ。一応周囲を確認したけどルミナスはいない。一度もお風呂のタイミングは被ったことないからとっくの昔に入って出てるんだと思う。昔から一番に入ってたしね


「ルミナスちゃんが気になるぅ?」


「気になりません」


私が周囲を見渡したからだろうけど気にはしてるけど無視してるの。アイツの姿なんて見たくもないし気配さえ感じたくない。それだけ私はアイツに嫌悪感を覚えてるんだから


「ルミナスちゃぁんはねぇ、今も居残りで訓練してるわぁ。ルミナスちゃぁんって夜中の十一時まで訓練してぇそこからお風呂に入ってるのよぉ」


「だから何なんです? 私には関係ありません」


「関係ないわねぇ。でも、ルミナスちゃんが追いかけてる目標はぁクロエちゃんなのよぉ」


「はっ? 人のことを散々イジメて今度は目標にするとか新手なイジメですか?」


「ふふふ、そうなのかもしれないわねぇ」


何が言いたいかわからないしそんな情報はいりません。ルミナスのことなんて一秒も考えるのが嫌なんだから考えさせないで欲しいわ


「人って不思議だわぁ。本当に嫌いなら人は無関心になるわぁ。気にすることもなく関心さえ持たないのぉ。クロエちゃんの憎しみは心からの憎しみなのかしらぁ? それとも尊敬からの憎しみなのかしらぁ?」


「何が言いたいんですか?」


「私は一方の言い分を聞くのは嫌いだわぁ。ルミナスちゃんはぁクロエちゃんのことを羨ましがっていたと言ってたわぁ。最初はぁ気にも止めないどうでもいい存在だったみたいなのぉ。でも、全ての成績を抜かれて必死に努力したけどぉ差が広がっていくばかりで悔しかったと言ってたわぁ。ルミナスちゃんは貴族の子だからぁ結果を残さないとぉ大変だったでしょうねぇ」


「それとイジメは関係ありますか?」


確かに貴族は大変だみたいな話をよく聞く。でも、私は私で大変だったし必死だったもん。他人なんて知ったこっちゃないわ


「ふふっ、関係ないわぁ。でも、クロエちゃんは貴族の子の気持ちがわからないでしょぉ? 貴族は平民の子が思ってる以上に大変で結果を求められるのぉ。結果を出せなかった子がどうなるかぁ知ってるかしらぁ?」


「………」


「親子の縁を切られるならまだいいわぁ。自分達の価値を高めるための道具として使われるのよぉ。女の子ならぁ望まない相手と結婚………ならマシねぇ。知らないおじさまたちの第二、第三婦人で性処理のために存在するかぁ、最悪、ただの男の玩具として生きるのよぉ。横の繋がりを強く太くするため………酷いわよねぇ」


「………それを聞かせてどうしたいんですか?」


「成績を抜かされてぇ結果を残せなかったルミナスちゃんは………言わなくてもわかるでしょぉ? なら、どんな手段を使ってもクロエちゃんの成績を落とすんじゃないかしらぁ? 落とさねば地獄が待ってる、本当はやりたくないことだとしてもやらなけばならないのぉ。それが親の命令だったらどうかしらぁ?」


「………そ、それは」


「ふふっ、私の独り言に付き合ってくれてぇありがとぉ」


私の頭のなかが余計にぐちゃぐちゃになっていく。これからどんな感情で動けばいいのかわかんないよ

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