イライラ
「た、体力落ちたぁ」
「無理するなよ?」
「病み上がりはそんなもんだ。気にすんな」
優しい言葉をかけてくれるのはディー先輩とブロンクス先輩の二人だ。二人はちょくちょく見舞いに来てくれてまだ本格的な訓練に参加出来ない私に個人的に付き合ってくれてる
団長に自ら申し出たみたいで本当に心から感謝してる。そんな二人に付き合ってもらってるんだからもっと頑張らないと
「あれに負けられないし」
私と同じ病み上がりなのにオランはいまだに走り続けてる。私が来る前には筋トレも済ませたのだと思うけど全身から湯気を出してた。三ヶ月大人しくさせられていた筈なんだけど………基礎体力が違ったんだろうね
「よしっ! 昼からプールを借りていいですか?」
「今は夏だから多いんだぞ!」
「男だらけなんだぞ?」
「えっ? そ、そうですね?」
凄い剣幕で行くことを止められたんだけど………私が行ったらなんか不味いことでもあるの? 確かに女だけど十三歳の子供だよ? こんなペチャパイに需要ないでしょ?
「心配しすぎですって!」
「クロエちゃん、男は餓えると見境がなくなる」
「我がメディア騎士団は団長が女だからこそ女性も多いがそれでも男女比率は八対二と圧倒的に男が多い。そんな欲望渦巻く騎士団を侮ったら駄目だ!」
「………えっ、とぉ………ははっ」
体力付けるのにプールは最適なんだけどなぁ。病み上がりだし全身運動になるからいいんだけど………困ったな
「どうしても行くと言うのなら………」
「戦うしかない」
「これは戦争だ!」
「クロエを護るぞ!」
「………えっ?」
二人は鎧を身に付け新品の木剣を手にして私を守るようにプールへと誘導する。そして着替えておく間に準備を済ませるから合図が出たらプールに行くように指示を出された
「クロエ!」
「今なら使えるぞ!」
そぉーと凄い音のなか室内プールに入ると男子更衣室のなかで激しい戦いの音が響いていた
どうやら、ディー先輩とブロンクス先輩は他の騎士の先輩たちと戦ってるようだ
凄い気になるけどこの間に試用しろってことだよね? 遠慮なく使っていいんだよね
「………気にしたら敗けだ」
激しい戦闘音はどれだけ時間が経過しても変わらない。私は軽いストレッチをしてウォーキングから始め五十メートルのプールを全力で泳ぎ続ける
五十メートルを四本泳ぎ終わったら少しだけ休憩して泳ぎ方を四本泳ぐ
それを繰り返してると女子更衣室の扉が開いて二人の女性が入ってきた
「………あれ何の音ですか?」
「ルミナスちゃん………気にしちゃぁ敗けよぉ? あれはぁ、女子がプールを使うとぉ、必ず行われる恒例行事なのぉ」
「はぁ? よくわかりませんが」
凄い豊満ボディーの女性とルミナスはプールに入ってくる。豊満ボディーの女性は私に気付くと笑顔で手を振って近寄ってきた
「クロエちゃんが先客かぁ。リハビリにプールはいいものねぇ」
「は、はい」
「あっ! 自己紹介してないわよねぇ? 私はぁアルチナって名前なのぉ。よろしくねぇ」
初めて目にした人だ。と言うかその胸は自慢なのかな? 思わず視線がそこに集中しちゃうくらいでかすぎる。騎士にとってこの大きさは暴力………じゃなくて、破壊力………でもなくて、邪魔じゃないんだろうか
「そんなに見られちゃ恥ずかしいわぁ」
「ご、ごめんなさい!」
「いいのよぉ。こんなの邪魔でしかないものぉ」
いろんな女性見てきたけど一番大きいと言うかこの人に勝てる人はいるんだろうっぐらい大きい。少しだけ分けて欲しいけど………自分の胸を見たら悲しくなってきた。トレーニング開始しよっ
プールは広いので二十~三十人ぐらい同時に泳いでも問題ないぐらい大きい
そんな広いプールを三人しか使ってないんだから贅沢すぎる
まぁ、実際は男子更衣室で激しい戦闘が繰り広げられてるんだけど
「クロエちゃぁん、こっち来てくれるかしらぁ」
「はい?」
「ちょっ!」
「もぅ、こうしないと言わないでしょぉ?」
何かルミナスが焦って困ってる顔をしてる。アルチナさんに呼ばれて側に行くとルミナスが口を開いた
「ま、アルチナさんはメディア騎士団随一の魔法使いだから………その、指導してもらったら?」
「は? はぁ?」
「もぅ! あのねぇ、ルミナスちゃんは私にずっとお願いしてきていたのぉ。魔法使いとして活動してるぅ~クロエちゃんを指導して欲しいってぇねぇ~」
ルミナスを見ると気まずそうにしていて私の方を見ようとしない。何か余計に腹が立つ。これで許してもらおうとか考えてるわけ? 本当にイライラしてきた。そんなのお願いしてないし困ってもない! 何であんたに恩を売られなきゃいけないのよ
「結構です。私はプールから出るからお好きにどうぞ」
「ま、まって」
「はぁ? なに?」
「………」
何であんたが被害者みたいな顔してるわけ? 私が被害者だったのに何で私が悪者みたいになるの? 私は一度もルミナスに何かしたことなんてない。私はずっと一人だったしさらに追い詰めるようにイジメてたのはおまえなのに………
「二度と関わらないで! あんたとは仕事上では仕方なく付き合うけど仲良くなんて死んでもしないから!」
私はプールを出て苛立つように体を拭いてタオルを投げて更衣室から出た。その後は訓練する気にもなれずに部屋に戻りベッドに転がった。こんな気分になるぐらいならメディア騎士団を退団した方がいいんだろうかと思えてしまっていた
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